ビラノアは空腹時内服
ビラノア
空腹時内服。
食後に飲むと、血中濃度Maxも低下、最大血中濃度に達するまでの時間も1時間と3時間と遅延
・健康成人男性 20 例にクロスオーバー法で
空腹時及び食後(高脂肪食)に本剤 20 mg を単回経口投与したとき
空腹時に比べ
食後投与時のCmax 約 60%低下
AUC0-tは約 40%低下
・本剤 20 mg の単回経口投与時のバイオアベイラビリティ(BA)に及ぼす食事の影響
高脂肪食の食後投与により,空腹時に比べ
食後投与の投与0時間から最終濃度検出時間(t時間)までの
血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)は 1283.53 ng・hr/mL から 770.59 ng・hr/mL へ約 40%低下
最高血漿中濃度(Cmax)は277.86 ng/mLから120.18 ng/mLへと約60%低下
最高血漿中濃度到達時間(tmax)の平均値は 1.03 時間から3.03 時間に遅延
この結果は,海外の 2 試験の結果(BILA459-02 試験,BILA459-12 試験)と同様
以上より→「空腹時に経口投与する」となった
また、国内外で実施した臨床試験では,有効性評価を適切に行うために,
服薬時間を「朝食の 1 時間以上前又は 2 時間以上後」と規定していた
しかし本剤の薬効は投与後約 1 時間で発現する
ため、空腹時であれば、朝・夕などの内服タイミングのしばりはない。
参考文献:
https://www.pmda.go.jp/drugs/2016/P20161025003/400107000_22800AMX00690000_B100_1.pdf.pdf
オメガ3 オメガ6 オメガ9
オメガ3って?
オメガ3ってきいたことありますか?
オメガ3の他にも、オメガ6・オメガ9などもあります。
身近な油もこれらのグループに含まれます。 オメガとは何でしょうか?
ココナッツオイル、エゴマ脂、アマニ油が話題になっているのはなぜでしょうか?
皮膚科専門医試験には関係がないのですが、健康のため、まとめます。
あ、皮膚科の専門医試験にはでませんが、糖尿病の専門医試験にはでます。
オメガ3
体内でつくることができず、食物から摂る必要がある必須脂肪酸です。
リノレン酸とEPA DHAなどがこれです。
青魚、アマニ油やえごま油、しそなどは オメガ3が多い食品です。
青魚と書きましたが、特にサバやイワシに多く含まれます。
意識しないと摂取量が少なくなってしまいがちのため、意識して取る必要があります。
また熱に弱く、加熱調理には不向き。
日清からも販売されています。
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オメガ6
リノール酸とも言われます。
体内でつくられず、食物から摂る必要がある必須脂肪酸ではあるのですが、普通に生活していると勝手にとってしまうので、意識して減らす必要があります。
大概の悪い油が全部これです。サラダ油、コーン油、グレープシードオイル、ごま油。
オメガ6は大量生産しやすく、熱に強いため、
ケーキ、お菓子、カップラーメン、カップスープ、スナック菓子などの加工食品に大量に含まれています。
オメガ9
一価の不飽和脂肪酸です。
オレイン酸ともいいます。
オリーブオイル、ココナッツオイル、ひまわり油、べに花油、なたね油(キャノーラ油ともいいます)、マカダミアナッツオイルなどがあります。
自分は主に料理でオリーブオイルとハイオレックのひまわり油を使用しています。
オリーブオイルは熱に強く安価で手に入りやすくいいのですが、香りがついてしまい、和の料理の邪魔をすることがあるので、その場合はひまわりオイルを使用しています。
ひまわり油はハイオレック(良質なオレイン酸が多いタイプ)とハイリノール(とりすぎると有害なオメガ6のリノール酸が多いタイプ)があります。安価なのはハイリノールが多いので、注意です。
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こちらの商品は安価なのにハイオレイン酸(オレインリッチ)ですので、おすすめです。
ドンキで398円で売っていたことがあり、まとめ買いしました。
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皮膚科領域とオメガ3
オメガ3の良質な油は、
皮膚アレルギーの発症を抑制する、
という報告も出ています。
Yu Sawada, et al; Resolvin E1 inhibits dendritic cell migration in the skin and attenuates contact hypersensitivity responses. J Exp Med19 October 2015; 212 (11): 1921–1930.
日常の取り入れ
オメガ3の魚 特に青魚を多くとるように心がけています。鯖缶も活用しています。
マグロやメカジキなどの大きい魚は美味しいのですが、水銀なども気になるので、食べすぎないようにしています。
また、同じくオメガ3のシソが大好物でして、魚の刺身と一緒にしそ、大根おろしで食べています。
また、エゴマパウダーを納豆や味噌汁にいれて食べています。
熱すぎるお味噌汁だと効果が薄まるのか?と心配して気をつけて摂取しています。
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冷蔵庫にエゴマオイルを常備しておりオイルを直飲みする日もあります。
やや魚臭い生臭さがあるのが難点です。
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いかがでしたか?
今のところ皮膚科専門医試験には関係のないお話でしたが、
日々の生活 身の回りのことですので、しっかり理解して食事をしたいと日々思っています。
また今度皮膚とオメガについて、関わりがあるところを調べてまとめていきたいです。
デルマ侍。
著作権や引用について
論文の引用、紹介、まとめなどの著作権、翻案について、わかりやすくまとめてくださっているサイトがありましたので紹介します。
論文の内容や図などを使って記事を書く時について、など
https://doctor-adhoc.com/quote/
こちらのサイトも参考にしています。
膠原病の肺高血圧 頻度と薬
肺高血圧症
pulmonary hypertension:PH
・初期には症状がわかりづらい
・進行してから気づかれることがある
・混合性結合組織病や強皮症での合併が多い
膠原病ごとの 肺高血圧症 合併の頻度
MCTD7-16%
SLE 1-9%
SSc 5-11%
PM/DM 0-1%
肺高血圧症の治療薬
・ベラプロスト(PGI2 プロススタサイクリン誘導体)
ドルナー(プロサイリン)
ウプトラビ(選択的プロスタサイクリン受容体作動薬)
・トラクリア(ボセンタン)、ヴォリブリス(アンウリセンタン)エンドセリン受容体拮抗薬
・シルデナフィル、タダラフィル ホスフォジエステラーゼ5阻害薬 (保険適応はEDのみ)
・フローラン(プロスタ I2 エポプロステノール)
・パルクス(プロスタE2 アルプロスタジル)
皮膚科専門医試験の対策として
肺高血圧の薬はなんですか?という聞き方はしないと思いますが、
SScの潰瘍治療に関連して皮膚科学会からガイドラインがでていますので、
強皮症の皮膚潰瘍の治療において、
エンドセリン受容体拮抗薬(ボセンタン)が潰瘍新生抑制:B,潰瘍治療:C1で有効性がある、
というところは覚えます。
また、この項目は、学会の専門医講習会でも取り上げられていたので、要チェックです。(専門医講習会テキストにも記載あり)
※SScの皮膚硬化に対してはボセンタンの有効性は明らかではなく、推奨度は「なし」です。
またMCTDやSScを初期に皮膚科が見つけることも重要な役割と考えます。その上で、
PH合併は予後を決める大事な因子であり、MCTDとSScにおいて合併率が多いことは記憶します。
参考文献:
全身性強皮症 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン
日皮会誌:126(10),1831-1896,2016
創傷・熱傷ガイドライン委員会報告―4: 膠原病・血管炎にともなう皮膚潰瘍診療ガイドライン
日皮会誌:121(11),2187-2223,2011
新型コロナワクチン ワクチン接種前にアレルギーの予測ができるか
患者さんにこんなふうに質問されることはありますか?
「先生、私はコロナワクチンの予防接種を受けても大丈夫なんでしょうか?」
そんなふうに聞かれることも増えてきたんじゃないでしょうか。
正直やってみないとわからない、と思いますが、
もう少し掘り下げてみます。
患者の既往歴の確認
特に原因が特定されていないものがないか、ですよね。
コロナワクチンのアレルギーに関しては、
添加物のPEGによるものである可能性がもっとも考えられています。
ファイザー(コミナティ)とモデルナ社のワクチンにはPEG2000使用されているます。
また、アストラゼネカ社のワクチンには、ポリソルベート80が添加されています。
アナフィラキシーがあっても、たとえば、えび、とか蜂、など
原因がわかっていれば問題なし。
コミナティをはじめとしたmRNAワクチンとの交差も言われていません。
そのため、アレルギー反応、接触皮膚炎、アナフィラキシーなどがないか確認し、
なかでも原因がわかっているかどうか。
接触皮膚炎をきたしたことがある化粧品の中にPEGが含有されていたら、
メーカーに取り寄せて成分パッチをすることを検討 してもいいかもしれません。
PEG単体での成分は鳥居などでは販売されていないと思いますし、
成分取り寄せのパッチが現状でしょうか。
PEGに関する特異的IgEはまだ検査ができません。
海外での患者のアレルギー歴
コロナワクチン接種時アナフィラキシー
コロナワクチン接種でアナフィラキシーを起こしたひとは、
過去にどのような薬剤でアナフィラキシーを起こしたか、
というと
狂犬病、インフルエンザA[H1N1]、季節性インフルエンザやその他のワクチン、造影剤(ガドリニウム系、ヨウ素系、不特定静注)、輸液製剤、サルファ剤、ペニシリン、プロクロルペラジン、ラテックス、クルミ、木の実、クラゲ、など、
と報告されています。
多種多様です。
事前に予測することは難しい
PEGのIgEでもあれば血液検査ですこし予測できるかもしれませんが、あっても確実でないし、まして、ない。
現状ではやってみないとわからないとしか言い切れないですが、知識を持った上でのぞめば
より対応しやすいかと思います。
他の記事の紹介
接種が始まっている、ファイザー社のコミナティの成分について、こちらにまとめています。
コロナワクチン後のアレルギーに対して投薬する抗ヒスタミン剤は、PEGが含まれておらず、服用時間に制限がないルパフィンがおすすめです。理由についてまとめました。
接種時の予防対応、準備についてはこちら
コロナワクチン接種関連アレルギーの疑いで皮膚科へ精査依頼がきたら
コロナワクチン接種後
アナフィラキシーや蕁麻疹をきたして
後日皮膚科に精査依頼きたら
原因精査
添加物であるPEGのアレルギーが現状もっとも考えられている。
コミナティの成分についてはこちら。
PEG特異的IgE抗体の測定系は、確立していない。
PEGは世の中に溢れている。花王 ビオレuのボディソープやニベアのスキンミルクなど。
これまでに原因がわからない強いアレルギー反応、接触皮膚炎、アナフィラキシーなどがないか確認。
接触皮膚炎をきたしたことがある化粧品の中にPEGが含有されていたら、メーカーに取り寄せて成分パッチをすることを検討する。
1回目接種だったら2回目は打っていいのか?
2回目接種時の抗ヒスタミン剤の予防投与は、効果・安全性が不明
PEGによる即時型アレルギーと診断された場合、例えば投与後の軽症の蕁麻疹など、アナフィラキシーでなくてもアメリカではmRNAワクチン禁忌としている
現状では2回目接種は推奨されない。
参考文献:
Blumenthal KG, Robinson LB, Camargo CA, et al. Acute Allergic Reactions to mRNA COVID-19 Vaccines. JAMA. Published online March 08, 2021. doi:10.1001/jama.2021.3976
日本アレルギー学会 COVID-19ワクチンに関するアナウンスメントWG 令和3年3月12日
新型コロナウイルスワクチン接種にともなう 重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療 一般社団法人 日本アレルギー学会 令和 3 年 3 月 1 日
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/JSA2021COVID-19ワクチン_アナウンスメント_最終版210301.pdf
新型コロナワクチン接種に伴うアナフィラキシーの対応、投薬について
本記事では、コロナワクチン接種会場などで、アレルギー症状、アナフィラキシーの症状をきたした患者がいた場合、どうすればいいか、どのように対応すればいいのか、について解説します。
ワクチン接種時にアナフィラキシー
・直ちにエピネフリンを筋注
・仰臥位、下肢挙上
・モニター装着
・ルート確保
ボスミン®0.3㎎=0.3㏄を筋注、大腿中部外側に打つ
ボスミン投与は症状がおさまるまで、5-15分おきに反復する
・生食/リンゲルなどの細胞外液負荷
・挿管キット・人工呼吸用携帯感染予防マスクの準備
アナフィラキシーショックを疑うような場合は多くの人員と協力を得ながら対応する必要があります。
また、重症な症状ではないもののアレルギー症状が疑われる場合には
・PEGを含まない抗ヒスタミン剤内服(ビラノア錠®・ルパフィン錠®・アレグラOD錠®)
・ソルコーテフ500mg (ヒドロコルチゾン)、ハイドロコートン
の投与を検討します。
※デポ・メドロールR、ガスター錠®はPEG・ポリソルーベート含有のため注意です。
アナフィラキシーの判断に悩むとき
アナフィラキシーのバイオマーカーとして
T-IgE上昇、Tトリプターゼ上昇 (感度低い)
が報告されていますが、感度が低く、参考程度です。
二相性アナフィラキシー
アナフィラキシーは、一度症状が治ったようにみえても、24-48時間以内に二発目がくることがあります。これを二相性、といいます。
・二相性アナフィラキシーをきたす頻度
(コミナティに限らない) 成人23% 小児11%
といわれています。成人では5人に1人はおこす計算になります。結構なリスクですので、アナフィラキシー症状〜疑いの患者は1-2日経過観察目的での入院が推奨されます。
また、
・ステロイド投与はアナフィラキシーに対しては即効性なし、作用発現までに数時間、
二相性アナフィラキシーの発現を予防する可能性はあるが、確立したエビデンスはなし
とされています。
症状がひどい場合は投与しておいたほうが安心かもしれません。
・アドレナリンは筋注後10分で最高血中濃度、40分で半減
Simons FE et al:J Aller Clin immunol101:33-337,1998
アドレナリン(ボスミン)も投与後すぐに半減します。
PEGを含まない抗ヒスタミン薬の推奨
・日本アレルギー学会はPEGを含まない抗ヒスタミン剤内服として、新型コロナワクチン接種後のアレルギー症状に対しての内服を
ビラノア錠®・ルパフィン錠®・アレグラOD錠® 推奨としている
→デルマ侍的には中でも
ルパフィン錠
がお勧めです。
理由はこちら。
まとめ
コロナワクチン接種会場などの対応に当たる前に読んでいただけたら。
参考になれば幸いです。
コミナティの成分についてはこちら。
海外のコロナワクチン接種に伴うアレルギーの頻度についてはこちら
mRNAワクチンとはどういう仕組みか
コロナワクチンについて
現状、コロナワクチン投与前の事前精査はなかなか難しいです。
事後精査で皮膚科依頼がきたら。PEG含有の化粧品使用でのかぶれがないか検索は有用と考えます。
本記事は日本アレルギー学会の提言を参考にしています。デルマ侍。
参考文献:
Blumenthal KG, Robinson LB, Camargo CA, et al. Acute Allergic Reactions to mRNA COVID-19 Vaccines. JAMA. Published online March 08, 2021. doi:10.1001/jama.2021.3976
日本アレルギー学会 COVID-19ワクチンに関するアナウンスメントWG 令和3年3月12日
新型コロナウイルスワクチン接種にともなう 重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療 一般社団法人 日本アレルギー学会 令和 3 年 3 月 1 日
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/JSA2021COVID-19ワクチン_アナウンスメント_最終版210301.pdf