2019年令和元年の皮膚科専門医試験についてです。
この年度は、口頭試問がなくなり、筆記試験のみとなったはじめての年です。
またこの年から記述問題が増えました。
2019年令和元年の皮膚科専門医試験
受験者数、合格者数、合格率について
試験は2019年8月4日東京ベルサール日本橋にて行われました。
住友不動産ベルサールホームページより引用。
この部屋に椅子と机が並べられて行います。
231名受験に対し、合格者185名、合格率は80.0%です。
合格率の推移についてです。
2019年の合格者の内訳は男性56名、女性129名でした。
2019年から2020年にかけて、男性受験者が減り、女性受験者が増えた傾向があります。
また2019年は支部ごとの合格率では東部支部、西部支部の合格率が高い傾向があり、2020年とは異なっています。2020年は東京支部と西部支部の合格率が高い結果となりました。
専門医試験の委員長である田中先生は以下のように述べられておられます。
引用元 JDA LETTER
2019年令和元年専門医試験 全体についてのコメント
面接が廃止(面接試験と筆記試験の相関が高いため)となったことで 面接試験委員の先生方の旅費や会場費など約400万円が節約されました。代わりに記述問題が増やされましたが、その記述と選択問題の相関も高いことがわかりました。今後ますます皮膚科専門医の存在意義が問われる時代ですから、専門医試験においては学会で日常的に議論されるような重要かつ臨床に役立つ問題をできるだけ作成していきたいと思い ます。
問題ごとの講評コメント
識別指数マイナス ということは、成績上位者の方が下位者より正答率が低かったというこ とになり、出題ミスの可能性が高くなりますが、
今年は、識別指数マイナスの問題が7問ありました。
問題7は正常毛包の構造に関する問題でしたが、約半数の受験生が1を選んで不正解となりましたが、外毛根鞘は漏斗部を除く毛包の大部分の最外層です。
問題9は毛の発生を問う難問で、正答率は3割でした。
2019-9 皮膚科専門医試験過去問解答 専門医試験対策 - デルマ侍の皮膚科専門医試験対策
問題14のケラチン発現は繰り返し出題されているのですが、
CK1から8は タイプ2ケラチン(塩基性)で、CK9以上が タイプ1ケラチン(酸性)
という理解が8割以上の受験生にないということが判明しました。
CK9はほとんどの人が選んでいますが、CKを選んだ正解者はわずか5%でした。
CK17 は 先天性爪甲肥厚症および多発性脂腺嚢腫の原因遺伝子でもありますが、これに掌蹠角化症を合併することを想起できた人だけが正解肢を選べたようです。
2019-14 皮膚科専門医試験過去問解答 専門医試験対策 - デルマ侍の皮膚科専門医試験対策
問題 18のT細胞機能抑制に関与する分子は新しい問題でメラノーマの治療に関係する問題でしたが、まだ難問だったようです。
2019-18 皮膚科専門医試験過去問解答 専門医試験対策 - デルマ侍の皮膚科専門医試験対策
問題46のアナフィラキシーを生じる昆虫刺症は実臨床に直結する重要な問題でしたが、正解率は13%と低いものでした。
2019-46 皮膚科専門医試験対策 - デルマ侍の皮膚科専門医試験対策
問題66は家系図から母性遺伝を選ぶ問題でした。
2019-66 皮膚科専門医試験対策 - デルマ侍の皮膚科専門医試験対策
問題87は CD分子の発現局在が問われました。細胞表面に発現する分子であるという常識的な問題と思われましたが、正解率は4割に留まりました。
2019-87皮膚科専門医試験 - デルマ侍の皮膚科専門医試験対策
過去の講評
2020年の合格率、講評 についてはこちら
2018年の合格率、講評 についてはこちら
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