皮膚バリア 角層バリアとタイトジャンクション
皮膚のバリア機構
皮膚のバリア機能は2つから成り立っている。
①角質細胞間脂質からなる角層バリア stratum corneum (SC)
②タイトジャンクションバリア tight junctions (TJs)
①角層は強固なケラチン蛋白と角質細胞間脂質によって構成されている。
角層によって外界と隔てられている。
②タイトジャンクションバリアは、顆粒層の一部(SG2細細胞)の間にのみ発現している。
顆粒層全てではない。
鈴木雄介ら、アレルギー 64(10),1297-1304,2015より引用
皮膚は外側から角層、顆粒層、有棘層、基底層
顆粒層の外側からSG1 SG2 SG3細胞 顆粒層は通常3層
2020-7の過去問では、角層、顆粒層、有棘層、基底層の中からタイトジャンクションが存在しているところはどこか?という設問がでています。
経皮感作の仕組み
皮膚を掻き壊すことで、角層のバリアが障害され、角層内へ抗原が入り込む。
ランゲルハンス細胞は有棘層に存在しているが、樹状突起を角層内へ伸ばすことにより、抗原を取り込み、感作する。これが経皮感作の仕組みである。
その様子を可視化し、示した論文がこちら。
Kubo A, Nagao K, Yokouchi M, Sasaki H, Amagai M. External antigen uptake by Langerhans cells with reorganization of epidermal tight junction barriers. J Exp Med. 206:2937-2946, 2009.
TJs at KC-KC contacts allow penetration of LC dendrites by dynamically forming new claudin-dependent bicellular- and tricellulin-dependent tricellular TJs at LC-KC contacts, thereby maintaining TJ integrity during Ag uptake.
また、この論文では、経皮感作の際に、角層バリアが障害されていれば、タイトジャンクションバリア機能は保ちながらも、表皮ランゲルハンス細胞が抗原を取り込むことを示した。
二細胞-と三細胞依存性の三細胞の多イトジャンクションを、クローディン依存性に、ランゲルハンス細胞と角質細胞(ケラチノサイト)との間で新たに形成することで、
ランゲルハンス細胞は有棘層にいながら、そしてタイトジャンクションバリアを保ちながら、突起を伸ばし、抗原を取り込むことができるのである。
ランゲルハンス細胞は抗原を取り込んでるだけじゃなかったんですね。取り込む際に、あらよっと、ちょっとどいてくださいよ〜と侵入しながらも、
きちんと閉めるべきところは閉めておく。
かっこいい・・・。
クローディンは過去問にでています。2017-88
こんな記事も書いています。
参考文献:あたらしい皮膚科学
鈴木雄介ら、アレルギー 64(10),1297-1304,2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/64/10/64_1297/_pdf
Kubo A, Nagao K, Yokouchi M, Sasaki H, Amagai M. External antigen uptake by Langerhans cells with reorganization of epidermal tight junction barriers. J Exp Med. 206:2937-2946, 2009.
タイトジャンクションを形成する細胞はケルビン14面体という構造をしています。
過去問
2020-7
問題 7.タイトジャンクション(密着結合)が存在す る部位で正しいのはどれか.
1.角層間 2.基底膜 3.顆粒細胞間 4.有棘細胞間 5.基底細胞間
2017-88
問題88.タイトジャンクションストランドを構成する 主な膜蛋白はどれか.
1.オクルディン 2.カドヘリン 3.クローディン 4.デスモグレイン 5.デスモコリン
2020-7 答え3
2017-88 答え3