デルマ侍の皮膚科専門医試験 解答徹底解説

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経皮感作 ケルビン14面体

ランゲルハンス細胞はTJの外に突起を伸ばして抗原を取り込む

経皮感作の仕組みとして、表皮ランゲルハンス細胞が、タイトジャンクションバリアの外側に樹状突起を伸ばし、角質層を通り抜けてきた抗原やアレルゲンを捉えるということがわかっています。

これを実際にとらえた図を3Dリアルで示したのが日本人グループ。

 

Kubo A*et al:J Exp Med. 206:2937-2946, 2009.

 

皮膚顆粒層のTJの細胞はケルビン14面体

ではここで、タイトジャンクション絡みで、追加の質問。

ケルビン14面体 についてあなたは知っていますか?

ケルビン14面体とは、イギリスの物理学者、ケルビンが、19世紀に提唱した構造。
6角形8面、正方形6面からなる14面体。

細胞の表面積を最小にし、最も効率よく空間を充填できる多面体がケルビン14面体になるということがわかっている。

ケルビン14面体とはこんな形↓

 

f:id:DermaSamurai:20210320104657j:image

 

実は、

表皮顆粒層のタイトジャンクションTJを構成する細胞が、扁平ケルビン14面体という特殊な多角形の形状を取ることを日本人グループが中心になって見つけた。

Yokouchi M,et al: Elife. 5:e19593, 2016. 

表皮は、ケルビン14面体の細胞形状を利用して、タイトジャンクションバリアを保ったまま細胞をターンオーバーさせるということがわかったのだ。

皮膚もこんな幾何学的な構造だったなんて・・・自然ってすごい。

 

今後の試験予想

専門医試験で、そろそろ記述問題が出ると予想。

Q表皮顆粒層のタイトジャンクションを形成する細胞の幾何学的構造を述べよ。

A ケルビン14面体

 

過去問のなかにタイトジャンクションが存在する部位について答える選択問題がありました。

2020-7皮膚科専門医試験 対策 解答 - デルマ侍の皮膚科専門医試験対策

 

dermasamurai.hateblo.jp

2020-7から、今後の問題を考えると…。

 

過去問から次の問題を推測して勉強することは非常に重要です。

実際の試験作成委員の先生から聞いたリアル情報も含めて、裏事情についてまとめています。

note.com

 

皮膚バリアとタイトジャンクションについて

こんな記事も書いています。

dermasamurai.hateblo.jp

 

皮膚科専門医試験の更新でも過去問からテストが実施される予定です。

dermasamurai.hateblo.jp

 

勉強法についてはこちら。

dermasamurai.hateblo.jp

 

参考文献

Kubo A*, Nagao K, Yokouchi M, Sasaki H, Amagai M. External antigen uptake by Langerhans cells with reorganization of epidermal tight junction barriers. J Exp Med. 206:2937-2946, 2009. 

 

Yokouchi M, Atsugi T, Logtestijn M, Tanaka R, Kajimura M, Suematsu M, Furuse M, Amagai M, Kubo A*. Epidermal cell turnover across tight junctions based on Kelvin’s tetrakaidecahedron cell shape. Elife. 5:e19593, 2016. doi: 10.7554/eLife.19593 

 

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