新型コロナワクチン接種に伴うアナフィラキシーの対応、投薬について
本記事では、コロナワクチン接種会場などで、アレルギー症状、アナフィラキシーの症状をきたした患者がいた場合、どうすればいいか、どのように対応すればいいのか、について解説します。
ワクチン接種時にアナフィラキシー
・直ちにエピネフリンを筋注
・仰臥位、下肢挙上
・モニター装着
・ルート確保
ボスミン®0.3㎎=0.3㏄を筋注、大腿中部外側に打つ
ボスミン投与は症状がおさまるまで、5-15分おきに反復する
・生食/リンゲルなどの細胞外液負荷
・挿管キット・人工呼吸用携帯感染予防マスクの準備
アナフィラキシーショックを疑うような場合は多くの人員と協力を得ながら対応する必要があります。
また、重症な症状ではないもののアレルギー症状が疑われる場合には
・PEGを含まない抗ヒスタミン剤内服(ビラノア錠®・ルパフィン錠®・アレグラOD錠®)
・ソルコーテフ500mg (ヒドロコルチゾン)、ハイドロコートン
の投与を検討します。
※デポ・メドロールR、ガスター錠®はPEG・ポリソルーベート含有のため注意です。
アナフィラキシーの判断に悩むとき
アナフィラキシーのバイオマーカーとして
T-IgE上昇、Tトリプターゼ上昇 (感度低い)
が報告されていますが、感度が低く、参考程度です。
二相性アナフィラキシー
アナフィラキシーは、一度症状が治ったようにみえても、24-48時間以内に二発目がくることがあります。これを二相性、といいます。
・二相性アナフィラキシーをきたす頻度
(コミナティに限らない) 成人23% 小児11%
といわれています。成人では5人に1人はおこす計算になります。結構なリスクですので、アナフィラキシー症状〜疑いの患者は1-2日経過観察目的での入院が推奨されます。
また、
・ステロイド投与はアナフィラキシーに対しては即効性なし、作用発現までに数時間、
二相性アナフィラキシーの発現を予防する可能性はあるが、確立したエビデンスはなし
とされています。
症状がひどい場合は投与しておいたほうが安心かもしれません。
・アドレナリンは筋注後10分で最高血中濃度、40分で半減
Simons FE et al:J Aller Clin immunol101:33-337,1998
アドレナリン(ボスミン)も投与後すぐに半減します。
PEGを含まない抗ヒスタミン薬の推奨
・日本アレルギー学会はPEGを含まない抗ヒスタミン剤内服として、新型コロナワクチン接種後のアレルギー症状に対しての内服を
ビラノア錠®・ルパフィン錠®・アレグラOD錠® 推奨としている
→デルマ侍的には中でも
ルパフィン錠
がお勧めです。
理由はこちら。
まとめ
コロナワクチン接種会場などの対応に当たる前に読んでいただけたら。
参考になれば幸いです。
コミナティの成分についてはこちら。
海外のコロナワクチン接種に伴うアレルギーの頻度についてはこちら
mRNAワクチンとはどういう仕組みか
コロナワクチンについて
現状、コロナワクチン投与前の事前精査はなかなか難しいです。
事後精査で皮膚科依頼がきたら。PEG含有の化粧品使用でのかぶれがないか検索は有用と考えます。
本記事は日本アレルギー学会の提言を参考にしています。デルマ侍。
参考文献:
Blumenthal KG, Robinson LB, Camargo CA, et al. Acute Allergic Reactions to mRNA COVID-19 Vaccines. JAMA. Published online March 08, 2021. doi:10.1001/jama.2021.3976
日本アレルギー学会 COVID-19ワクチンに関するアナウンスメントWG 令和3年3月12日
新型コロナウイルスワクチン接種にともなう 重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療 一般社団法人 日本アレルギー学会 令和 3 年 3 月 1 日
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/JSA2021COVID-19ワクチン_アナウンスメント_最終版210301.pdf