膠原病の肺高血圧 頻度と薬
肺高血圧症
pulmonary hypertension:PH
・初期には症状がわかりづらい
・進行してから気づかれることがある
・混合性結合組織病や強皮症での合併が多い
膠原病ごとの 肺高血圧症 合併の頻度
MCTD7-16%
SLE 1-9%
SSc 5-11%
PM/DM 0-1%
肺高血圧症の治療薬
・ベラプロスト(PGI2 プロススタサイクリン誘導体)
ドルナー(プロサイリン)
ウプトラビ(選択的プロスタサイクリン受容体作動薬)
・トラクリア(ボセンタン)、ヴォリブリス(アンウリセンタン)エンドセリン受容体拮抗薬
・シルデナフィル、タダラフィル ホスフォジエステラーゼ5阻害薬 (保険適応はEDのみ)
・フローラン(プロスタ I2 エポプロステノール)
・パルクス(プロスタE2 アルプロスタジル)
皮膚科専門医試験の対策として
肺高血圧の薬はなんですか?という聞き方はしないと思いますが、
SScの潰瘍治療に関連して皮膚科学会からガイドラインがでていますので、
強皮症の皮膚潰瘍の治療において、
エンドセリン受容体拮抗薬(ボセンタン)が潰瘍新生抑制:B,潰瘍治療:C1で有効性がある、
というところは覚えます。
また、この項目は、学会の専門医講習会でも取り上げられていたので、要チェックです。(専門医講習会テキストにも記載あり)
※SScの皮膚硬化に対してはボセンタンの有効性は明らかではなく、推奨度は「なし」です。
またMCTDやSScを初期に皮膚科が見つけることも重要な役割と考えます。その上で、
PH合併は予後を決める大事な因子であり、MCTDとSScにおいて合併率が多いことは記憶します。
参考文献:
全身性強皮症 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン
日皮会誌:126(10),1831-1896,2016
創傷・熱傷ガイドライン委員会報告―4: 膠原病・血管炎にともなう皮膚潰瘍診療ガイドライン
日皮会誌:121(11),2187-2223,2011