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乾癬治療でのネオーラル トラフ値の目安

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ネオーラル シクロスポリンについて、皮膚科領域での使い方、使用上の注意事項についてまとめます。

・適応疾患

・禁忌

あたりは専門医試験にもでる可能性があります。

トラフ値や、1日1回投与or2回投与のあたりはエキスパートオピニオンレベルなので、試験にはでません。

ネオーラルの適応疾患

皮膚に関係があるものは

アトピー性皮膚炎

ベーチェット病<眼症状のある場合>

関節症性乾癬

乾癬性紅皮症

尋常性乾癬<皮疹が全身の30%以上に及ぶものまたはPASI12以上>

尋常性乾癬<難治性>(→既存の治療で抵抗性)

 

のみ。

慢性多形痒疹にも慣例的によく使用されますが、保険適応は通っていません。

ガイドライン上も推奨度C1

日皮会誌:130(7),1617-1626,2020

 

投与方法:1日2回か1日1回内服

投与方法は

①1日2回 朝夕

②1日1回 朝

のいずれかがあります。

①に比べ、

1日1回投与の方が少ない量(低用量)で効果が得られる、とされています。

 

投与タイミング

食前投与が推奨されています。

食前空腹時投与のほうが血中濃度が上昇しやすく、有効性が高いため基本投与タイミングとして推奨されています。

しかし空腹時内服による消化器症状の訴えや血圧上昇によるものと考えられる頭痛などが生じる場合には食後内服を考慮する、とされています。

投与量

① 1日2回投与では 2.5mg/kg/日から開始し、5mg/kg/日までの間で適宜増減

②1日1回投与では 1.5mg/kg/日〜2.5mg/kg/日 で適宜増減

 

とされています。

目安の開始量は

①では50kgで125mg/日

②では50kgで75mg/日〜125mg/日

 

ネオーラルには10mg 25mg 50mg製剤があります。

大体 ネオーラル100mg/日で開始し、トラフ値をみながら 投与量調整、で大丈夫です。

 禁忌

試験にでやすい禁忌対策。

妊婦授乳婦は禁忌 

また、肝臓か腎臓に障害がありコルヒチン内服中の患者 禁忌

タクロリムス、ピタバスタチン、ロスバスタチン、ボセンタン、アリスキレン 内服中の患者 禁忌

(タクロリムス外用は禁忌ではありません。)

スタチン系禁忌は忘れないで覚える。

 

重要な副作用

免疫低下

血圧上昇

腎機能の悪化

 

ネオーラル投与中のフォロー項目

血清クレアチニン 投与前の値より30%上昇した場合は減量、中止

血圧 ARB ACE-Iなどの高圧薬を併用してもコントロールできない場合は減量、中止

 

ネオーラル血中濃度モニタリング

血中濃度を測定すると「特定薬剤治療管理料」がとれる

初月750点/月 2ヶ月目以降は470点/月

・投与開始2週間後

その後は2週間後以降に適宜

 

血中濃度の指標

 

導入期   C0 100-150ng/mL    C2 800-1000ng/mL

寛解期   C0 50-100ng/mL     C2  400-700ng/mL

 

C0 (トラフ値) 次回投与直前の血中濃度。前回内服から12時間程度たったのちの時間。

C2     内服2時間後の血中濃度

 

C0が200ng/mLを超えていたら過剰投与なので、減量

C2が導入期にC2 800-1000ng/mLの範囲内であれば維持投与、C2 800ng/mL以下であれば増量を検討

します。

(乾癬治療におけるネオーラルの安全使用マニュアル より)

 

まとめ

ネオーラルを使うときは

例としては 

100mg/日 1日1回朝食前投与 開始

2週間後に血中濃度測定のスケジュールを組む。

朝食を抜いてきてもらう→朝8時に来院、C0 トラフ測定→朝食→朝10時にC2測定→診察

などなど。

 

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参考文献:

乾癬治療におけるネオーラルの安全使用マニュアル

痒疹診療ガイドライン 2020

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