デルマ侍です
バラマイシン軟膏とゲンタシン軟膏についてまとめます。
バラマイシン軟膏
1954年から販売されているようです、古っ!
バシトラシン 250単位 フラジオマイシン硫酸塩 2mg(力価)
添加物 白色ワセリン(基剤) (ワセリンのみ!)
ゲンタシン軟膏
販売は1970年から。バラマイシンよりは最近です。
ゲンタマイシン硫酸塩
添加物 パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、流動パラフィン、白色ワセリン
パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピルが入っています。これはジャパニーズスタンダードアレルゲン2015に含まれていて、パッチテストパネルSにも、「パラベンミックス」の中に入っています。
剤形の違い
剤形はバラマイシン軟膏は10gチューブと250gの瓶があります。
ゲンタシンは、軟膏とクリームがありますが、それぞれ10gチューブのみです。
適応疾患
バラマイシン 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染、腋臭症
ゲンタシン 表在性皮膚感染症、慢性膿皮症、びらん・潰瘍の二次感染
→どちらも表在性皮膚感染症 の保険病名をいれておく、で覚えればよさそうです。
各薬剤の注意事項
バラマイシン軟膏 添付文書に
広範囲な熱傷、潰瘍のある皮膚には長期間連用しないこと
と書かれています。
ゲンタシン軟膏も添付文書に
長期間連用しないこと
と書かれています。「広範囲な熱傷、潰瘍のある皮膚には」は削られています。
抗生剤入りのステロイド
リンデロンVG軟膏 ゲンタシン軟膏が入っています
目の周りに使うネオメドロールEE軟膏はバラマイシン軟膏の成分の一部のフラジオマイシンが含まれています
(ステロイドではありませんが、フラジオマイシンは、ソフラチュール、クロマイPにも含有されています)
そのため、抗菌剤軟膏ですでに感作していた場合、これらのステロイド外用剤でも接触皮膚炎をきたす可能性があります。
接触皮膚炎ガイドライン2020
試験大好きガイドライン。試験対策には必読です。
バラマイとゲンタに関してもガイドラインに書かれていますのでチェックです。
以下引用
アミノグリコシド系抗菌薬は比較的接触感作原性が高い医薬品で、
フラジオマイシンはその中で高率に感作を起こすことが知られている.
フラジオマイシンにかぶれた患者は基本構造骨格のdeoxystreptamine を共有する
ゲンタマイシン,アミカシン,カナマイシンなどのその他のアミノグリコシド系抗菌薬と交叉反応することが報告されている
以上
バラマイに含まれるのがフラジオマイシンで
ゲンタに含まれるのがゲンタマイシン
です。
症例報告では、バラマイシンもゲンタシンもどちらも接触皮膚炎の報告があります。
臨床的には特に自分もバラマイシンのかぶれの経験が圧倒的に多いので、ガイドラインの情報と一致します。
特に長期投与、広範囲に漫然と使用していると、創部の周りなどに細かい紅色丘疹が多発してきたりします。
過去問対策
薬の成分、添付文書問題、パッチテスト関連はよくでていますので勉強しておくといいと思います。
2020-94
1週間後の判定が望ましいアレルゲンは?という問題で、
「フラジオマイシン硫酸塩」を選ぶ問題がありました。
パッチテスト関連では2020-78にも出題がありました。
パッチテスト関連の過去問をまとめました。
おわりに
お読みいただきありがとうございます!
皮膚科専門医試験対策のnoteもやっています
2020年令和2年度皮膚科専門医試験の解答解説集はこちら。
参考文献:
添付文書