食物依存性運動誘発アナフィラキシー
食物依存性運動誘発アナフィラキシーについて過去問の解説を交えてまとめていきます。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
FDEIA
特定食物摂取後 2~3 時間以内に運動負荷が加わることにより生じるアナフィラキシー反応
皮膚症状 を伴うことが多い
原因食物としては,我が国では小麦,エビの症例が多い.
年齢的には全年齢に生じるが, 特に 10 歳代の報告が多い.
また,症状は(non-steroidal anti-inflammatory drugs;NSAIDs)により増悪しやすく,原因食物と NSAIDs の摂取のみで症状が誘発されることもある
鑑別
加水分解小麦含有石鹸
平成22(2010)年より,加水分解小麦含有石鹸の使用に伴い小麦による食物依存性運動誘発 アナフィラキシーの患者が急増したが,該当製品の販売中止と自主回収により多くの患者で過敏性は解消な いし軽減しつつある
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの対処方法
原因抗原を含む食物の摂取か,食後 23 時間以内の運動を中止することにより症状出現を回避
症状の出現しやすさは,疲労や NSAIDs などの 増悪因子による影響を受ける
症状を出現させる食物と運動の量は必ずしも一定しない
特に NSAIDs は,運動負荷に代わる誘発因子となることがあるので注意が必要である(→過去問出題あり)
治療はアナフィラキシーショック,または一般の食物アレ ルギーによる蕁麻疹に準じる
誤食などによる症状出現に備えて抗ヒスタミン薬,ステロイド内服薬とともに
エピペンの処方を検討
検査と診断
ω5グリアジン特異的IgE検査
リコンビナントタンパク質利用
加水分解小麦によるFDEIAでは血中ω5グリアジン特異的IgEは陰性
加水分解小麦によるFDEIA では、患者血清で
小麦特異的IgE陽性
グルテン特異的IgE陽性
血中ω5グリアジン特異的IgEは陰性
(ただし、一部の患者では抗体価は低いがω5グリアジンを認識するIgEを保有する)
過去問
2012-52
問題 52
食物に関連したアレルギーで間違っているのはどれか。
1.モモの口腔アレルギー症候群は主にシラカバで感作される。
2.魚アレルギーの主な抗原は魚の筋肉に含まれるパルブアルブミンである。
3.若年者の FDEIA の原因食物はエビ等の甲殻類が多い。
4.小麦の FDEIA の誘発試験にアスピリンを前投与すると誘発率が高くなる。
5.納豆アレルギーは通常の大豆アレルギーより症状発現までの時間が早い。
答え5
4○アスピリン内服で症状増悪(あたひふ)
5×納豆は遅発性アナフィラキシーと言われる
2015-45
問題45.近年,加水分解コムギ含有石鹸を使用した消費者の一部が,小麦製品を食べた際にアレルギー症状を示すようになり,大きな社会問題となった.これらの患者の確定診断の際に最も有用と考えられる検査方法はどれか.
1.パッチテスト
2.プリックテスト
3.運動負荷試験
4.薬剤リンパ球刺激試験
5.ω-5 グリアジン特異的 IgE 検査(CAP-FEIA)
答え3
確定診断には運動負荷試験
5 × 加水分解コムギ含有石鹸使用後の小麦アレルギーは、ω-5 グリアジン特異的 IgE 検査が陰性になることが多い(トピックス2012参照)
おわりに
いかがでしたか。
お読みいただきありがとうございました。
該当する設問を含む解説はこちらでも。
参考文献:
あたらしい皮膚科学P134
2018蕁麻疹ガイドライン
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf
臨皮66:147-149.2012(トピックス)