デルマ侍の皮膚科専門医試験 解答徹底解説

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肉芽腫、真菌 皮膚科専門医試験過去問 総会イーラーニングより

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はじめに

デルマ侍です。総会e-learningで真菌関連の過去問解説がありました。そちらの講演の内容をまとめました。

 

第119回総会 EL15-4 専門医試験にでる肉芽腫

2019-38

 

 酵母型と菌糸型の両方をとる二相性真菌による疾患はどれか.
1.Chromomycosis
2.Cryptococcosis
3.Phaeohyphomycosis
4.Sporotrichosis
5.Tinea pedis

 

答え4 スポロトリコーシス

 

Chromomycosis 酵母

Cryptococcosis 酵母

Phaeohyphomycosis 菌糸型

Sporotrichosis 酵母型・菌糸型の両方 二相性真菌

TInea pedis 菌糸型

 

二相性真菌とは:サブロー培地では菌糸、感染病巣(生検病理)では酵母

二形性真菌、ともいう。

スポロトリコーシスの他、Histoplasmosis Blastomycosis Paracoccidiomycosis Candidiasis

 

2019-39

76 歳の男性.慢性リンパ性白血病でシクロフォスファミド内服中.1 か月前より右手背に皮疹 が出現(図 7a).病理組織所見(PAS 染色,図 7b), 培養所見(図 7c),スライドカルチャー所見(図 7d) を示す.考えられる疾患はどれか.

1.Chromomycosis

2.Cutaneous protothecosis

3.Paracoccidiomycosis

4.Phaeohyphomycosis

5.Sporotrichosis

 

免疫不全の右手背の紅色結節

PASで好酸性に染まる

培養では、黒く円で縁取られているのが特徴

 

答え4 Phaeohyphomycosis 黒色菌糸症

2019-38皮膚科専門医試験対策 - デルマ侍の皮膚科専門医試験 解答徹底解説

 

2019-41

結核薬の副作用の組み合わせで誤っているのは?

 

結核薬の副作用で誤っている組み合わせ はどれか.

1.イソニアジド ―――――――神経障害

2.ピラジナミド ―――――――痛風

3.リファンピシン ――――――偽膜性腸炎

4.ストレプトマイシン ――――耳鳴

5.パラアミノサリチル酸 ―――SLE 様症状

 

パラアミノサリチル酸 SLE症状、が誤り

パラアミノサリチル酸はPASともよばれ、多剤耐性結核で用いられる

副作用は消化器系症状(嘔吐、下痢)と肝炎

 

2019-43

50歳男性、周堤がある環状の紅斑

メスで切った滲出液を染めている→チールニールゼン

 

50 歳代の男性.図 8a の皮膚所見で受診し, 図 8b の検査所見であった.本症について正しいの はどれか.

1.中枢神経が侵される.

2.1 種類の抗菌薬で治療する.

3.抗酸菌用培地で発育可能である.

4.日本では毎年約 50 名の新規患者がいる.

5.多菌型(MB,LL 型)では左右対称性に皮疹・ 神経症状がみられる.

 

 

診断はハンセン病多菌型

答えは5

 

1.中枢神経が侵される.→末梢

2.1 種類の抗菌薬で治療する.→3種類

3.抗酸菌用培地で発育可能である.→不能

4.日本では毎年約 50 名の新規患者がいる.→数名

5.多菌型(MB,LL 型)では左右対称性に皮疹・ 神経症状がみられる.

 

2019-58

わが国のサルコイドーシスの診断基準 (2015)で,非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を示す皮 膚病変を有し,他の肉芽腫・局所サルコイド反応を除外できている患者で,サルコイドーシスと診断するのに必要な他の条件は何か.

1.なし

2.BHL(両側肺門リンパ節腫脹)

3.眼病変

4.肺野病変

5.皮膚以外の 2 病変

 

答え1のなし

2015年から診断基準が変わり、非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を示す皮膚病変でサルコイドーシスと診断して良い、となった。

織組織群では、皮膚で非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫 がしめされれば、+他の肉芽腫・局所サルコイド反応を除外できている であれば診断する。昔は皮膚以外にも他臓器の症状を伴わないといけなかった。

選択肢の25は臨床診断群の検査所見にふくまれる。

 

2019-記述8

68 歳の女性.1 年前から自覚症状のない発疹 (図 30a)が腹部,腰部と四肢に出現してきた.腹部 の紅斑から採取した皮膚生検像(図 30b)およびそ の拡大像(図 30c)を示す.本症例で最も疑うべき合併症は何か.

 

臨床は紅斑(臨床写真はよくない、と金澤伸雄先生もおっしゃられている)

病理はpalisadingや巨細胞はぱっとしない

診断は汎発型の環状肉芽腫で合併症は糖尿病

 

2019-記述9

肉芽腫性口唇炎,皺襞舌,顔面神経麻痺を 3主徴とする症候群は何か.

 

答え メルカーソン・ローゼンタール症候群

Melkersson-Rosenthal症候群

 

2018-25

53 歳,女性.6 か月前に手背に生じた皮疹が前腕に拡大した.図 4a に臨床像を,図 4b にスライ ドカルチャー所見を示す.考えられる疾患はどれか.

1.黒色菌糸症

2.黒色分芽菌症

3.スポロトリコーシス

4.皮膚アルテルナリア症

5.皮膚アスペルギルス症

 

臨床は赤色肉芽結節 求心性に広がる→リンパ管型

スライドカルチャーでは菌糸と酵母がある→二相性!(see 2019-38)

酵母は病変部で見られる

答え 3.スポロトリコーシス

 

2018-27

70 歳,女性.免疫抑制薬を内服中に,胸部に潰瘍を伴う結節が出現した.皮膚生検組織のムチカ ルミン染色像を図 5 に示す.考えられる診断はどれ か.

1.ノカルジア症

2.アスペルギルス症

3.クロモミコーシス

4.クリプトコッカス症

5.スポロトリコーシス

 

ムチカルミンはムチンをそめる。酵母が染まっている。

答え 4 クリプトコッカス症

 

2018-29

真性皮膚結核はどれか.

1.陰茎結核

2.腺病性苔癬

3.皮膚疣状結核

4.壊疽性丘疹状結核

5.結節性結核性静脈炎

 

答え3

1.陰茎結核(結核疹)

2.腺病性苔癬(結核疹)

3.皮膚疣状結核

4.壊疽性丘疹状結核

5.結節性結核性静脈炎(結核性紅斑)

 

真性皮膚結核:皮膚疣状結核、皮膚腺病、尋常性狼瘡

結核:アレルギー性

 

2018-45

サルコイドーシスの頻度で誤っているのはどれか.

1.性別頻度:女性>男性

2.好発年齢層:30 代>60 代

3.初発自覚症状:皮膚症状>呼吸器症状

4.皮膚サルコイド病型頻度:結節型>皮下型

5.病理所見の陽性頻度:Asteroid小体> Schauman 小体

 

答え 2

2.好発年齢層:30 代>60 代→ 正 30代<60代

(これは海外の知見と混ざると難しいのですが、日本では、を考えます。)

 

 

2018-46

62 歳,女性.約 1 年前から体幹・四肢に図 9a に示すような紅斑が多発してきた.生検組織像を 図 9b に示す.胸部 X 線:異常なし,血清 ACE 値: 正常.この患者の合併症として重要なのはどれか.

1.脱毛

2.糖尿病

3.視力低下

4.光線過敏

5.甲状腺機能低下

 

臨床は環状の肉芽腫

病理では弱拡大で好塩基性の細胞浸潤の中央に赤く抜けた部分が見えて、

強拡大では巨細胞あり、ムチンが中央に染まる

汎発性環状肉芽腫

合併症は糖尿病

答え2

 

2017-18

光沢苔癬について正しいのはどれか.2 つ選 べ.

1.瘙痒が強い.

2.高齢者に多い.

3.Köbner 現象がみられる.

4.自然消褪はほとんどない.

5.病理組織で Langhans 型巨細胞がみられる.

 

答え35

1.瘙痒が強い.→ない

2.高齢者に多い.→若年者

3.Köbner 現象がみられる.

4.自然消褪はほとんどない.→自然消退する

5.病理組織で Langhans 型巨細胞がみられる.

 

2017-28

クロモミコーシス(黒色分芽菌症)の原因菌で最も多いのはどれか.

1.Sporothrix schenckii

2.Fonsecaea pedrosoi

3.Nocardia brasiliensis

4.Phialophora verrucosa

5.Cladophialophora carrionii

 

答え2 Fonsecaea pedrosoi

1.Sporothrix schenckii スポロトリコーシス

2.Fonsecaea pedrosoi 多い

3.Nocardia brasiliensis ノカルジア

4.Phialophora verrucosa まれ

5.Cladophialophora carrionii 日本では少ない

 

この選択肢の中では、

クロモミコーシスの原因菌は

Fonsecaea pedrosoi 

Phialophora verrucosa 

5.Cladophialophora carrionii

 

また、今回のこの総会e-learningでは特に触れていませんでしたが、

「クロモミコーシスで多いのはFonsecaea pedrosoi 」で記憶しては2020年以降NGです。

演者の先生はおそらく肉芽腫よりの先生で真菌の先生ではありませんでしたので・・・。

詳しくは2017年平成20年皮膚科専門医試験過去問解説集や真菌過去問まとめシリーズ#8をご覧ください。

note.com

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2017-32

28 歳の男性.図 6a のような鎖骨部の皮疹を主訴に受診した.数ヶ月前より出現し,痛みはほぼない。Ziehl-Neelsen染色

1.ツベルクリン反応は陰性である.

2.原因菌が血行性に波及して生じる.

3.培養検査は喀痰のみで十分である.

4.免疫低下を伴っていないと発症しない.

5.治療は原則として多剤併用療法である. 

 

診断は皮膚線病

答えは5

 

1.ツベルクリン反応は陰性である. →陽性

2.原因菌が血行性に波及して生じる. →連続性 主にはリンパ管

3.培養検査は喀痰のみで十分である. → 組織や膿汁からも行う

4.免疫低下を伴っていないと発症しない. →いなくても発症する

5.治療は原則として多剤併用療法である. ○

 

2017-記述5

サルコイドーシスの皮膚病理組織像(図 31) で,巨細胞の中にみられる放射状の針状構造を何と 呼ぶか.

 

答え アステロイド体 星状体

 

2016-21

61 歳の女性.初診の 3 か月ほど前に右下腿の 伸側面に毛包炎様皮疹が出現した.徐々に拡大し中 央に角化を伴う紅斑となったため当科を受診した (図 6a).病理では図 6b~6c の所見であった.正し いのはどれか.

1.Nocardiosis

2.Aspergillosis

3.Sporotrichosis

4.Cryptococcosis

5.Chromomycosis

 

病理は巨細胞の中に胞子

Groccot染色で陽性

 

答え 5.Chromomycosis クロモミコーシス黒色分芽菌症

褐色の円形または多角形の大型胞子はSclerotic cell

 

2016-24

ハンセン病の多菌型の特徴はどれか.2 つ選べ.

1.大型の紅斑

2.皮疹の数が多い

3.高度の知覚低下

4.左右対称性の皮疹分布

5.肉芽腫周囲に多数のリンパ球浸潤

 

答え24

 

1.大型の紅斑 →大型でない。紅斑の他、丘疹、結節

2.皮疹の数が多い○

3.高度の知覚低下 → 軽度

4.左右対称性の皮疹分布○

5.肉芽腫周囲に多数のリンパ球浸潤 → 少数

 

 

神経は細胞性免疫でやられる。少菌型のほうが知覚低下が高度になる

細胞性免疫が弱いほうが、多菌型になる。

2016-42

48 歳の男性.2 か月前から下口唇が腫脹し来院した.図 11a に皮膚所見,図 11b と図 11c に皮膚 生検像を示す.行うべき検査はどれか.2つ選べ.

1.頭部 MRI

2.光線テスト

3.胸部 X 線検査

4.金属パッチテスト

5.抗 DSG-1 抗体価測定

診断は肉芽腫性口唇炎

答え 34

サルコイドーシス除外のためXp実施

4型アレルギーの関与否定で原因検索目的で金属パッチテスト実施

 

2016-75

疾患と病理所見の組み合わせで最も適切なものはどれか.2 つ選べ.
1.Sarcoidosis ――――― palisading granuloma

2.Acute eczema―――― spongiosis

3.Verruca vulgaris ―― papillomatosis

4.Psoriasis vulgaris ―― acantholysis

5.Pemphigus vulgaris ― acanthosis

 

答え23

1.Sarcoidosis ――――― palisading granuloma → non-caseating epithelioid cell

2.Acute eczema―――― spongiosis○

3.Verruca vulgaris ―― papillomatosis○

4.Psoriasis vulgaris ―― acantholysis  →acanthosis

5.Pemphigus vulgaris ― acanthosis  ⇨acantholysis

 

2016-83

24 歳の女性.両下腿に多発した浸潤をふれる 紅斑で受診し,病理検査で図 26a の所見が見られ た.図 26b はその拡大像である.診断はどれか.

1.結節性紅斑

2.硬結性紅斑

3.皮下型環状肉芽腫

4.皮下型サルコイドーシス

5.皮膚型結節性多発動脈炎

 

病理では脂肪組織の隔壁に強い細胞浸潤

類上皮細胞

バナナ型のクレフト(cleft切れ目)が特徴的でMiescher放射状肉芽腫という

 

答え1  結節性紅斑

病理はやや慢性化した病変をみている。

 

2015-30

 

22 歳の男性.2 か月前より鼻出血を繰り返し,鼻腔の病理所見は出血性壊死性肉芽腫性炎症で あり,図 6a の皮疹で来院,図 6b は生検像である. 最も考えられる疾患はどれか.

1.皮膚白血球破砕性血管炎

2.顕微鏡的多発血管炎

3.IgA 血管炎

4.多発血管炎性肉芽腫性症(Wegener 肉芽腫症)

5.NK/T 細胞リンパ腫

 

答え4.多発血管炎性肉芽腫性症(Wegener 肉芽腫症)

鼻出血、出血性壊死性肉芽腫性炎症、病理で壊死性血管炎+肉芽腫で診断はウェジェナー

 

2015-34

 

69 歳の女性.両側肺門リンパ節腫脹があり, ぶどう膜炎にて治療中である.ツベルクリン反応は 陰性で,血清アンジオテンシン II 転換酵素とリゾ チームが高値である.膝蓋の皮疹(図 7a)を生検し た.図 7b の矢印に示す物質で頻度の高いのはどれ か.

1.Co

2.Ni

3.Mn

4.Si

5.Zn

臨床写真は瘢痕浸潤

答えは4 Si シリカ(ケイ素)

 

2015-82

次の中でクォンティフェロン検査と T- スポッ ト .TB に共通しているのはどれか.
1.専用の採血管で採血する.

2.全血を抗原で刺激する.

3.産生されたインターフェロン -γ を定量する.

4.小児への適応がある.

5.M. marinum に対して反応する可能性がある.

 

答え5

1-3の選択肢はQFTクオンティフェロンのみ

4 乳幼児ではツ反の併用が推奨されている

5M.marinumに対してQFTもTSPOTも反応する可能性がある。

両検査で用いる結核菌特異抗原はM.marinumの他、NTMのM.Kansasii M.szulgai にも反応する

(e-learningでは取り上げられていないが、

QFTは最も多いM.avium、M.intracellulare には反応しない。)

 

2015-83

皮膚生検に関する次の記載で正しいのはどれか.

1.シェーグレン症候群の診断のため,手掌の無疹部皮膚を生検した.

2.Intravascular large B cell lymphoma の診断のため,腹部の無疹部皮膚・皮下組織を生検し た.

3.Creeping disease の診断のため,線状皮疹中央の紅斑部を生検した.

4.血管炎の診断のため,しびれの訴えがある足趾の無疹部皮膚を生検した.

5.サルコイドーシスの診断のため,肘の無疹部皮膚を生検した.

 

答え 2

サルコイドーシスで無疹部をとることはない、自覚症状がない瘢痕浸潤を探す。

 

まとめ

総会e-learning第119回総会 EL15-4 専門医試験にでる肉芽腫

肉芽腫関連疾患(真菌、ハンセン病結核、NTM、サルコイドーシス、肉芽腫疾患)の出題は

2019年7題 2018年5題 2017年4題 2016年5題 2015年4題

全体の5%程度を占める

 

 

おわりに

いかがでしたか。勉強の助けになれば嬉しいです。

真菌絡みの問題はちょこちょこでます。

皮膚科専門医試験の過去問の真菌についての項目をまとめて解説しています。

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Hansen病、結核皮膚科専門医試験過去問まとめシリーズを公開しています。

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総会e-learning

第119回総会 EL15-4 専門医試験にでる肉芽腫

金澤伸雄先生(和歌山県立医科大学附属病院皮膚科)

 

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