パッチテストで香料ミックスが陽性になったらどうするか
パッチテストで香料ミックスが陽性になったらどうするか
今日はそんな疑問に答えていこうと思います。
香料ミックス
香料ミックス とは、
その名の通り、香料のアレルゲンをミックスしたもの。
α-アミルシンナムアルデヒド、イソオイゲノール、ケイ皮アルデヒド、オイゲノール、ケイ皮アルコール、ヒドロキシシトロネラール、 ゲラニオール、オークモス
の複合したアレルゲン。
佐藤製薬の、パッチテストパネル(S)にも含まれます
また、
ジャパニーズスタンダードアレルゲンJSA2015や、2019年から名称が変わった、ジャパニーズベースラインシリーズJSBに含まれます。
日本での法律の表記は「香料」
現在日本では、成分表示が義務付けられている商品でも「香料」としか表示義務がないので、
「香料」と書いてある商品の中で、具体的にどんな香料が使われているかはわからない。
メーカーに問い合わせをすると、教えてもらえることもあるが、企業秘密で開示してくれないこともある。
日本では法律上の義務がないため、メーカーも必ずしも教えなくてもいいのだ。
それも困るけどね。
日本での香料ミックス 特徴
・欧米に比べると日本は陽性率が低い
・高齢者で多い
・2018年度陽性率5.4%
香料ミックス以外のJBSの香料アレルゲンは?
ペルーバルサムも香料として使用されます
ペルーバルサムは香料ミックスには含まれておらず、別のアレルゲンの項目としてパッチテストパネルなどには含まれています
ペルーバルサム
樹脂
中南米原産のMyrox- ylon pereirae と呼ばれる樹木の抽出物で 250 以上の化学物質から構成される
その中には,cinnamic aldehyde, cinnaml alcohol,eugenol などの香料が含まれる
バニラのような香り
ソフトドリンクや歯磨き粉にも入っている
パッチテストパネル(S)、JSA2015や、JSBに含まれる
香料アレルギーの診断
ペルーバルサムをパッチテストすることにより、香料アレルギーの50%、
香料ミックスをパッチテストすることにより、香料アレルギーの70-80%
が検出できるとされる
すなわち、香料アレルギーについては「ペルーバルサムと香料ミックス」を組み合わせればかなり感度高く見つけることができるという。
もちろん、両者のパッチテストを行っても,全ての 香料アレルギーの患者を検出することはできない。
化粧品アレルギー全体で多い原因も香料!
化粧品原料の中で,化粧品皮膚炎の最も頻度の高い 原料は香料で,原因の 30%以上をしめる(接触皮膚炎ガイドラインより)
患者さんへの対応
香料の中のどの項目に陽性なのか、を各成分ごとに貼り直してパッチテストをするのは一つの方法
しかし、特定したとしても、日本での法律上の評価が「香料」なので、患者さんへの指導としては「香料フリーの商品を選んでください」
とならざるを得ない
JSAとかJBSとか 呼び方の話
日本では1994年に、ジャパニーズスタンダードアレルゲンJSAが設定された。
欧米ではベースラインシリーズと昔から言われていたので、
最近日本でもその名前に変更。
でもまだまだJSAでも話は通じる。
ちなみに2020年の接触皮膚炎ガイドラインの中でも「ジャパニーズスタンダードアレルゲン」JSAって表現が出てくる。
皮膚科専門医試験的にはガイドラインが大事なので、JSAでもうしばらくいいかもね。
おわりに
いかがでしたか?
勉強になれば嬉しいです。
noteもやっていますので、のぞいてみてください。