帯状疱疹関連痛 ZAP 皮膚科専門医試験過去問検討
デルマ侍です。
おなじみ帯状疱疹について。
帯状疱疹関連痛zoster-associated pain:ZAP
帯状疱疹の痛みは初期と後期で違ってくる
一連の痛みをまとめて帯状疱疹関連痛zoster-associated pain:ZAP
という。
よく皮膚科で耳にするワードの帯状疱疹後神経痛は、後期の痛みだ。
引用元:マルホホームページより
大事なポイントは、
初期の痛みが侵害受容疼痛:皮膚の痛み
後期の痛みが神経障害疼痛:神経の痛み
である。
ZAPにからめて、過去問をみてみよう。
2015-22
80 歳の女性.4 日前から図 5 のような皮疹が出現し,強い疼痛を伴っている.この症例について正しいものはどれか.2 つ選べ.
1.再発しやすい.
2.神経痛が残りやすい.
3.眼合併症が高率にみられる.
4.疼痛に対しては NSAIDs が第一選択である.
5.抗ヘルペスウイルス薬を通常量よりも増量する.
過去問の検討
帯状疱疹の痛みの後期の、神経障害性疼痛に関しては、NSAIDsはエビデンスが少なく、推奨されない、との文言がある。
引用:日本ペインクリニック学会 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版より
他のエキスパートオピニオンでも、「急性期ではプロスタグランジン(PG) が痛みを惹起しているため、この時期の病態に合った鎮痛薬となると NSAIDsは間違いではないと思います。ただし帯状疱疹に罹患するのは高齢者や免疫機能が低下している患者さんが多いので、患者さんの状態に合わせた鎮痛薬を選ぶことが重要です。私はアセトアミノフェンを第一選択薬として推奨」
と書かれています。
(マルホ対談 山口 重樹 先生 渡邉 大輔 先生 獨協医科大学 麻酔科 教授 より引用)
皮膚科の先生のエキスパートオピニオンでも、
「急性期侵害受容性痛に対しては非オピオイド鎮痛薬が薬物治療の中心となり 、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)あるいはアセトアミノフェンが使用される。NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ( COX )活性を阻害することにより抗炎症作用を示す消炎鎮痛薬である。NSAIDsの使用は急性期のウイルス増殖に伴う炎症を抑制する意味で理にかなっているが、プロスタグランジンの産生抑制による腎機能障害や胃粘膜障害の発現に注意が必要である」と書かれています。
(マルホ 渡辺大輔先生 愛知医科大学医学部 皮膚科 教授より引用)
皮膚科学会からのガイドラインについては見つけられなかったので、
Q「疼痛に対してはNSAIDs が第一選択である.」
選択肢の4に対する是非の、エビデンスに基づく根拠が見つけられませんでした。
本症例では、4日前からなので、急性期の侵害受容疼痛に対する痛みの投薬で、NSAIDsも考慮ですが、80歳と高齢なので、第一選択とは言い切れず、
他にもより確実に正解な選択肢があるためそちらを選ぶ、という感じでしょうか。
少し良問とは言い難いですね…
答えは23
この問題は2019年の皮膚科専門医試験の過去問で、関連問題も出題されています。
昔の過去問には、どうしても古くなってしまって、なのか、こういうのがちらほらあります。
また解説してみようと思います。
2015年平成27年度の皮膚科専門医試験解答解説はこちら。
おわりに
noteもでも皮膚科専門医試験対策情報を日々更新、UPをやっております。
【解答】2018年平成30年度皮膚科専門医試験 解答
noteの目次。
お読みいただきありがとうございます。
参考文献
https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide08_11.pdf
https://www.maruho.co.jp/medical/famvir/pdf/support/dn03.pdf
https://www.maruho.co.jp/medical/famvir/pdf/support/talk01.pdf