デルマ侍です。
帯状疱疹について
帯状疱疹の発症機序
初感染後、神経節に潜む
↓
なんらかの原因で再活性化すると、神経軸索、シュワン細胞に沿って、組織を障害しながら下降していく
↓
(ここでも、年齢などにより、特に細胞性免疫が低下した場合に発症しやすい、ことが知られている)
(別の言い方をすると、加齢では若年者より細胞性免疫が低下しやすいが、液性免疫はそこまで低下しないこともわかっている)
神経の障害と浮腫
顔面神経麻痺は、神経管が細いため、神経が炎症を起こし腫脹することで直接的に圧迫されることも原因とされている
帯状疱疹ワクチン接種後のVZV免疫応答
・細胞性免疫cell-mediated immunity (CMI)
・液性免疫
の二つがある。
論文から紹介。
Weinberg A et al:J Infect Dis. 2009;200(7):1068-77.
●液性免疫は重症帯状疱疹を発症した患者で最も強く起こる
帯状疱疹ワクチン接種では帯状疱疹発症者よりも抗体は上昇しない
帯状疱疹発症から3週間後のgpELISA力価で比較
●細胞性免疫が強くでると重症度が低くなり、帯状疱疹後神経痛が少なくなる
●帯状疱疹ワクチン接種と帯状疱疹発症後の細胞性免疫反応は同じ程度認められる
細胞性免疫反応(CMI responses )
この論文から試験対策へ
・帯状疱疹に罹患したとき
帯状疱疹後神経痛になった人、とならなかった人、
を比較すると、
帯状疱疹後神経痛にならなかった人の方が発症初期に細胞性免疫がより活性化する
→推察:
細胞性免疫が強く起こると、帯状疱疹後神経痛になりにくい、か、軽症になる 可能性がある
・帯状疱疹ワクチンを接種したとき
帯状疱疹疱疹ワクチン打った人と帯状疱疹にかかった人は同じくらいVZVに対する細胞性免疫が活性化される
液性免疫は帯状疱疹罹患した人の方がワクチン接種者よりも強くでる
これを踏まえて過去問をみてみる。
皮膚科専門医試験過去問
2019-35
帯状疱疹ワクチン(乾燥弱毒生ワクチン,岡株)について正しいのはどれか.2 つ選べ.
1. 対象者は 50 歳以上である.
2. 水痘ワクチンと同様に 2 回接種を原則とする.
3. 水痘・帯状疱疹ウイルス特異的液性免疫の増強を主な目的とする.
4. 水痘・帯状疱疹ウイルス特異的細胞性免疫の増強を主な目的とする.
5. 帯状疱疹発症リスクの高い AIDS 患者や悪性腫瘍患者に接種可能である.
2017-27
本邦の帯状疱疹ワクチンについて正しいのはどれか.2 つ選べ.
1. 不活化ワクチンである.
2. 小児の水痘ワクチンと同一である.
3. 帯状疱疹後神経痛は予防できない.
4. 接種対象年齢は 50 歳以上である.
5. 免疫抑制薬内服中のハイリスク患者が接種対象となる.
おわりに
いかがでしたか?
勉強になれば嬉しいです。
こんな記事も書いています。
noteもやっているので、お時間があれば。
Weinberg A, Zhang JH, Oxman MN, Johnson GR, Hayward AR, Caulfield MJ, Irwin MR, Clair J, Smith JG, Stanley H, Marchese RD, Harbecke R, Williams HM, Chan IS, Arbeit RD, Gershon AA, Schödel F, Morrison VA, Kauffman CA, Straus SE, Schmader KE, Davis LE, Levin MJ; US Department of Veterans Affairs (VA) Cooperative Studies Program Shingles Prevention Study Investigators. Varicella-zoster virus-specific immune responses to herpes zoster in elderly participants in a trial of a clinically effective zoster vaccine. J Infect Dis. 2009 Oct 1;200(7):1068-77. doi: 10.1086/605611. PMID: 19712037; PMCID: PMC4014851.