デルマ侍です。皮膚科でよくみる
SCC 有棘細胞癌 Squamous cell carcinomaについて。
SCC 有棘細胞癌 マージン
SCC 有棘細胞癌 Squamous cell carcinoma
手術でとるときのマージンはどのくらい必要なんでしょうか?
専門医試験対策として
試験対策としては、SCCのうち、どんなものが高リスクとなるのか、
は今後出題される可能性があります。
出題は2022年度以降が主となる可能性があります。
高リスクの表は押さえておくとよいと考えます。
また、実際の臨床にも役立つので、勉強しておいて損はないと思います。
2019年、2018年にはSCCに関連する出題はありませんでした。
2020年にはTNM分類についての出題がありました。
マージン
SCCのマージンについては最新ガイドラインで
低リスク 4-6mm 以上
高リスク 6-10mm 以上
SCCリスク分類
リスク分類については
発生部位と直径
体幹・四肢(脛骨前部,手足を除く): 直径 2cm 以上
頰・前額・頭皮・頸部・脛骨前部: 直径 1cm 以上
マスク領域(顔面中心・眼瞼・眉毛部・眼窩周囲・鼻・口唇・ 頤・下顎・耳前部・耳後部)・陰部・手足: 大きさを問わない
臨床所見
境界不鮮明
放射線照射部位や慢性炎症が発生母地
再発例
増大速度が大
免疫抑制状態
神経症状あり
組織学的所見
低分化 adenoid(acantholytic),
adenosquamous,
desmo- plastic,
metaplastic subtype
皮下脂肪を超える浸潤
腫瘍厚が 6mm 超
神経・脈管浸潤あり
上記が 1つでも該当すれば高リスク群
ガイドラインは2020が最新です。
皮膚悪性腫瘍ガイドライン第 3 版 有棘細胞癌診療ガイドライン 2020
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/SCC_GL2020.pdf
ちなみに、
皮膚悪性腫瘍ガイドライン関連は、
2002年 皮膚悪性腫瘍取扱い規約
2007年 皮膚悪性腫瘍ガイドライン第一版
2015年 第二版
と出ていて、SCCについては、
2020年 第三版
となっています。
SCCの予後について
どのような部位の有棘細胞癌が転移しやすいかについてのオッズ比を調べた報告では,
外陰部に生じたものが 5.86,体幹が 3.32,下肢が 2.59 と高かった
日皮会誌:130(12)2517,2020とあり
2002年ガイドライン
2002 年版の「皮膚悪性腫瘍取扱い規約」に記載されている切除マージンは
「T4(軟骨・骨・筋肉などへの浸潤)ないし N1(所属リンパ節転移のあるもの)で 2~3cm,
それ以外の T1~T3 では 1~2cm 」となっていた。しかし、
「これは expertopinion であって十分な根拠が明記されていなかった」
とされています。
本邦ガイドライン第2版(2015年)では
切除マージンは原則 「6mm 以上」とし,
「低リスク群であることが確実な症例」に限って「4mm 以上」という表現をされています。
2002年ではかなり大きめにマージンをとっていたのですね。
2015年→2020年からの違いとしては、マージンの推奨に幅がでました。
過去問チェック
2020年 令和2年度 皮膚科専門医試験 記述問題 15.
2020-記15
記述問題 15.原発巣の最大径が 3 cm で,長径 2 cm の単発のリンパ節転移がある有棘細胞癌の病期分類 (Stage)は何か.
2017年 平成29年度 皮膚科専門医試験 選択問題68
2017-68
問題 68.有棘細胞癌の組織学的特徴はどれか. 3つ選べ.
1.horn pearl
2.palisading
3.clumping cell
4.individual cell keratinization
5.pigment blockade melanocyte
2016年度 平成28年度 皮膚科専門医試験 選択問題30
2016-30
問題 30.有棘細胞癌の発生母地となる病変はどれか.
1.Morphea
2.Heliotrope 疹
3.Gottron 徴候
4.Livedo reticularis
5.Discoid lupus erythematosus
2016年度 平成28年度 皮膚科専門医試験 選択問題89
2016-89
問題 89.Vemurafenib内服後に重大な副作用として高頻度に現れるものはどれか. 2 つ選べ.
1.Bowen 病
2.尋常性疣贅
3.有棘細胞癌
4.脂漏性角化症
5.ケラトアカントーマ
おわりに
いかがでしたか?
お読みいただきありがとうございました。
noteもやっております。
2020年令和2年 皮膚科専門医試験解答解説 公開中