妊婦・授乳婦に対する抗ヒスタミン薬
デルマ侍です。皮膚科専門医試験対策。
妊婦・授乳婦に対する抗ヒスタミン薬について。
ガイドラインではどのように書いてあるのか。
見ていきます。
妊婦・授乳婦に対する抗ヒスタミン薬
蕁麻疹診療ガイドライン 2018より
妊婦・授乳婦に対する薬物治療
抗ヒスタミン薬を含めて妊婦に対する薬物治療の十分な安全性は確立していない.しかし,現在までに我 が国で承認されている抗ヒスタミン薬はいずれも催奇形性の報告はない.よって,薬物治療の必要性が有害 事象によるデメリットの可能性を上回る場合は,第二世代の非鎮静性抗ヒスタミン薬を使用する.
その中では,ロラタジンとセチリジン塩酸塩は妊婦の使用経験の蓄積と弱いエビデンスがある.さらに,理論的には それらの体内活性化物であるデスロラタジン,レボセチリジンも同様に安全と考えられるが,現時点でエビ デンスはない(CQ7:推奨度 2,エビデンスレベル B).
ロラタジン=クラリチン
デスロラタジン=デザレックス
レボセチリジン=ザイザル
また、ガイドラインの中では、
妊産婦の蕁麻疹は経過観察を基本とし、薬物治療が必要な場合は相対的安全性の高い抗ヒスタミン薬を使用する。
とされています。
妊婦と過去問
妊婦に関連することで、皮膚科専門医試験対策では、
禁忌に妊婦があるか、ないか、
それが重要です。抗ヒスタミン薬x妊婦 のようなグレーな問題は出題されづらいです。
例えばディフェリンは妊婦禁忌ですよね。
抗ヒスタミン薬の皮膚科専門医試験過去問
2019-30 皮膚科専門医試験対策
1 歳のアトピー性皮膚炎患児に投与可能な薬剤(添付文書に6か月児以上の用法用量が記載され,安全性が確立していないことの注意記載がない)はどれか.2 つ選べ.
1. アレジオンⓇドライシロップ
2. クラリチンⓇドライシロップ
3. ザイザルⓇシロップ
4. ザジテンⓇドライシロップ
5. ジルテックⓇドライシロップ
2019-30皮膚科専門医試験 - デルマ侍の皮膚科専門医試験 解答徹底解説
おわりに
明確なエビデンスはガイドライン上ではどれもあまりなさそうです・・・。
ここであげられている薬も、あげられていない薬も第二世代の中では、結局はどれも大丈夫なんだとは思います。薬剤師の知り合いもがっつり妊娠中初期からアレロックを飲んでいましたが、お子さんは元気に成長されています。
しかし、厚生労働省やPMDA、ガイドラインで守られているわけではないので、
過剰な投薬はしないほうが無難だし、投薬する場合も患者さんとよくコミュニケーションをとった上がよさそうです。
お読みいただきありがとうございました。
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皮膚科専門医試験対策には、ガイドラインと添付文書がとっても重要だと思っています。
抗ヒスタミン薬の使い分けについて、こんな記事も書いています。
参考文献:蕁麻疹診療ガイドライン 2018
日皮会誌:128(12),2503-2624,2018
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf