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DIHS薬剤過敏性症候群 アップデート

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デルマ侍です。

今日はDIHS ディース について。

 

 

DIHSとは

DIHSとは

薬剤過敏症症候群のこと。

 

DiHS/DRESS と表記することもあります。

皮疹,発熱,リンパ節腫脹,肝障害に加え経過中に様々な臓器に病変を生ずる重症薬疹の一つ

 

DIHSの言葉

 

海外ではDrug reaction with eosinophilia and systemic symptoms :DRESSということが多かったですが、日本では杏林大の塩原先生たちの提言で Drug-induced hypersensitivity syndrome :DIHSということが多いです。

塩原先生方はDiHSと表記されますが、多くの清書などではDIHS表記が多いです。

 

DRESS(ドレス)とDIHSは診断基準などが少し異なる部分がありますが、

同じカテゴリーの疾患であることがわかっているため、

英語論文などではDIHS/DRESSといった表記を行います。

日本の先生たちはDIHSの表記をしていることが多いです。

 

DIHSと免疫再構築症候群 IRIS

DIHSと免疫再構築症候群 IRISは関係があることがいわれています。

免疫再構築症候群(IRIS:immune reconstitution inflammatory syndrome)

 

従来より

IRISとは、HIV感染AIDS患者さんに対して、抗レトロウイルス療法など治療開始した後、CD4陽性T細胞の増加に伴う免疫能が回復することにより、

免疫不全時には認識されなかった、本来常在している病原体への免疫応答が活性化して、日和見感染などの症状が顕在化する病態

として知られていました。

しかし最近では、HIV感染がない患者、AIDS患者以外でも、免疫抑制療法に関連した同様の病態を認めることが報告されてきており、

これらをnon-HIV IRISとして広く捉えるとする概念が提唱されてきています。

 

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日皮会誌:131(7),1685-1690,2021

 

さてDIHSに戻ります。

DIHSでは、ある特定の薬剤によって引き起こされる、ということがわかっています。

この特定の薬剤でしかおきらない、ということもすごく重要です。

 

実は、そのDIHSを引き起こす原因の薬剤たちは、

一種の軽度免疫抑制状態を引き起こし、その薬剤の中止をすることで、

一旦抑制されていた免疫が回復します。

その回復の過程で様々なウイルスの再活性化が連続的に起きている、と考えられてきています。

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日皮会誌:131(7),1685-1690,2021

 

さらに、細胞レベルではDIHSにはTregが関与していることが示唆されています。

(一方、TENやSJSはCD8+Tcellが関与しているとされています)

 

Tregについては後日別記事でご紹介します。

DIHS/DRESS以外にも、結核帯状疱疹、単純ヘルペス、CMV感染症、サルコイドーシスなどがIRISの病態を呈すると考えられています。

 

まとめ

DIHS/DRESSはカルバマゼピンなどの特定の薬剤によって引き起こされる。

DIHSを引き起こすこれらの薬剤には共通して免疫抑制の要素がある

原因となる薬剤を中止・休薬することで免疫抑制状態が解除されて免疫応答が回復

その過程で日和見感染症が顕在化

様々なウイルス再活性化が連続的におこる

DIHS/DRESSにおける一連の多発臓器障害



 

過去問

皮膚科専門医試験の過去問をみてみます。

 

2012-18
疾患と関連ウイルスで正しい組み合わせはどれか。3 つ選べ。
1.薬剤性過敏症症候群 HHV6(ヒトヘルペスウイルス 6 型)
2.蚊刺過敏症 サイトメガロウイルス
3.メルケル細胞癌 ポリオーマウイルス
4.ボーエン様丘疹症 HPV5(ヒトパピローマウイルス 5 型)
5.脊髄症 HTLV-1(ヒト T 細胞白血病ウイルス 1 型)

 

こういう問題の選択肢が、今後姿形を変えて再度出題される可能性が高いです。

現在の知見ではHHV6だけでなく、

CMV EBV HHV7などが関与していることがわかってきています。

 

中でも予後を決定する、CMVの再活性化が注目されています。

 

こんな問題もでています。

dermasamurai.hateblo.jp

おわりに

お読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

note.com

 

参考文献:

日皮会誌:131(7),1685-1690,2021

Shiohara T, Mizukawa Y: AllergologyInternational 68: 301, 2019

 

www.sciencedirect.com

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