デルマ侍です。
皮膚科専門医が読む敗血症ガイドラインについて。
敗血症ガイドライン
敗血症ガイドラインは2020のものが公開されています。
アプリ版もあり、使いやすいです。
日本版敗血症診療ガイドライン2020
The Japanese Clinical Practice Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2020 (J-SSCG2020)
sepsis 1、sepsis2、sepsis3やSIRSとの関係などについては歴史がありますが、細かい定義は皮膚科専門医試験対策としては割愛します。
培養検査について
抗菌剤投与前に2セット、可能なら3セットの血液培養を速やかにとる。
これは昔と変わっていないですね。
コンタミや陽性率が低いなどあるため、できる限り早く、多くの培養を提出します。
続いて、皮膚科専門医試験の過去問でも言及されていたところが、ガイドラインに乗っていましたが、
治療開始前にグラム染色は有用か?(CQ2-3)
弱く推奨
安価であるが、「本検査結果のみで抗菌薬を選択すると,重症病態にもかかわらず不適切な狭域抗微生物薬が選択されるリスクがある。また,検査施行者により感度・特異度が影響され,不適切な抗菌薬選択のリスクがある(検者 の不適切な検査手技,不十分な検鏡経験などによる偽 陽性・偽陰性の可能性がある)。」と書かれています。
原因菌を推測することは必要ですが、敗血症の場合は、抗生剤は広く empiric therapy を行う必要があります。
画像検査について
画像検査について。こちらも同じく皮膚科専門医試験の過去問にありましたが、
感染源が不明な敗血症患者に対して, 全身造影 CT 検査を早期に行うか?(CQ3-2)
弱く推奨
となっています。
ガイドラインには「全身造影 CT 検査に際しては,集中治療室や病棟からの移動が必要である。ショックを合併している場合 など,移動に伴うさらなる循環動態の不安定化が懸念される。また,造影剤を使用することから,ヨードアレルギーや造影剤腎症の発症も懸念される。」と書かれています。
過去問
皮膚科学会が発行する講習会テキスト、セミナリウムなどからは過去問の答えの根拠、出典を見つけられませんでしたが、
このガイドラインにしっかり書いてあるので、安心できました。
2020-32
63 歳の男性.コントロール不良の糖尿病がある.2 日前から右下肢の熱感・腫脹・疼痛があり来 院した(図 10).体温 39.2°C,血圧 78/40 mmHg, WBC 22,000/μl,CRP 31.0 mg/dl.施行すべき検査 で優先順位が低いのはどれか.
1.試験切開
2.血液培養
3.創部培養
4.下肢から胸腹部までの単純 CT
5.CT アンギオによる下肢血流評価
答え5
2014-81
51 歳の女性。未治療の糖尿病がある。数日前から発熱と右大腿部の疼痛を訴え、図 36 のような皮膚症状がみられた。迅速診断と治療のために、適切なものはどれか。2つ選べ。
1.局所の細菌培養
2.病理組織検査
3.LRINEC(Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis)スコアの評価
4.試験切開
5.病変組織塗抹の Gram 染色
答え34 と考えます。
おわりに
お読みいただきありがとうございました。
皮膚科専門医試験対策note更新中です。
皮膚科専門医試験過去問答えの年度別解説をまとめました。
参考文献:敗血症ガイドライン