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神経線維腫症1型とカフェオレ斑と。皮膚科専門医試験対策

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デルマ侍です。今日は

神経線維腫症1型

カフェオレ斑についてみていきます。

 

 

 

 

カフェオレ斑のコンサル


カフェオレ斑ですか?と小児科から依頼がきたらどうしましょう。

 


「赤ちゃんにカフェオレ斑疑いがあります

神経線維腫症でしょうか?お母様がご心配されています。ご高診をお願いいたします」

 

こんな依頼、コンサルテーション結構あります。

 

このブログを読んでくださっている先生も、そんな依頼を受けることはありませんか?

 

NF1の特徴的な皮膚症状は年齢の経過によって見られてくる時期が違うことがポイントです。

 

カフェオレ斑、雀卵斑様色素斑


カフェオレ斑とはNF1の典型例では、生下時から95%で見られるとされています。

成長に伴い増大する傾向があります。

そのためカフェオレ斑疑いがあると小児科の先生たちはすぐさまコンサルをしてくるかと思います。

典型ではNF1は比較的大型のカフェオレ斑のほか、小型の雀卵斑様の色素斑も多発します。

が、雀卵斑様色素斑は幼児期から見られることが多いです。

 

カフェオレ斑は小児では大きさが 0.5 cm 以上あればよいとされています。

 

神経線維腫

神経線維腫は小学生から中学生くらいに出てくるので、

赤ちゃん〜幼児期には、特徴的な多発する神経線維腫は認めません。

後述しますが、診断基準よりカフェオレ斑と神経線維腫があれば診断確実となるため、

赤ちゃんの時にコンサルを受けて診察をしても、確定診断は基本的にできません。

疑い例として経過をみていくしかありません。

眼の虹彩小結節

眼科にも受診していただき、虹彩小結節があるか確認してもらいます。

ガイドラインには小児期から見られるとされています。

経験的には2歳頃から認めることもありました。

この所見も診断基準に必要となってきます。

 

NF1の合併症

 

重要な合併症として、神経腫瘍、痙攣などの神経症状、精神遅滞学習障害などを生じることがあります。

 

NF1の診断基準

NF1の診断基準は、指定難病の基準では

カフェオレ斑と神経線維腫があれば診断確実となります

ほか、

家族歴がある場合は、神経線維腫がなくとも、

カフェオレ斑が6個以上あるなどで診断がつくこともあります。

 

指定難病HPより

「診断のカテゴリー カフェ・オ・レ斑と神経線維腫がみられれば診断は確実である。

小児例(pretumorous stage)ではカフェ・オ・レ斑が6個以上あれば本症が疑われ、家族歴その他の症候を参考にして診断する。ただし、両親ともに正常のことも多い。

成人例ではカフェ・オ・レ斑が分かりにくいことも多いので、神経線維腫を主体に診断する。」

 

皮膚科学会のガイドラインからは

NF1遺伝子変異を同定するか、

 

臨床的診断基準

以下 7項目中2項目以上で神経線維腫症 1 型と診断 となっています。

1.6 個以上のカフェ・オ・レ斑

2.2 個以上の神経線維腫(皮膚の神経線維腫や神経の神経線維腫など)またはびまん性神経線維腫

3.腋窩あるいは鼠径部の雀卵斑様色素斑(freckling)

4.視神経膠腫(optic glioma)

5.2 個以上の虹彩小結節(Lisch nodule)

6.特徴的な骨病変の存在(脊柱・胸郭の変形,四肢骨の変形,頭蓋骨・顔面骨の骨欠損)

7.家系内(第一度近親者)に同症

 

 

 

 

 

ガイドラインより、皮膚症状の出現時期について、まとめた表があります。

 

 

神経線維腫症 1 型(レックリングハウゼン病) 診療ガイドライン 2018皮膚科専門医試験対策

神経線維腫症 1 型(レックリングハウゼン病) 診療ガイドライン 2018

引用元:神経線維腫症 1 型(レックリングハウゼン病) 診療ガイドライン 2018より

乳幼児期には診断がつかないことが多い

出生直後の依頼はましてや、

幼児期には診断がつかない家族歴が明らかな場合を除き、ほとんど診断はつかないことが多いです。

家族歴がある場合もありますが、NF1は変異が入りやすい遺伝子のため、孤発例も多いです。

疑わしいときは否定もできない…結果、フォローしていくしかない・・・・

結構大変です。小児科の先生はこういった長期フォローに慣れてらっしゃるかもしれませんが、皮膚科としてはちょっと難しいですよね。

ガイドラインにも「幼少時期にはカフェ・オ・レ斑以外の症候はみられないことも多いため,時期をおいて再度診断基準を満たしているかどうかの確認が 必要である.」という記載があります。

フォローの仕方 例

初診できた、いくつか疑わしいカフェオレ斑がある場合

場所と大きさを記録

初診時に1-2歳であれば眼科にも依頼する(初診時赤ちゃんであれば、少し大きくなってから眼科依頼を検討する)

親御さんの性格、心配度合い、仕事の忙しさなどから空気を感じ取り、次回1ヶ月後か3ヶ月後くらいにフォローする

多くはその期間では著変ないはずであるが成長に伴いちょっとカフェオレ斑はおおきくなるはず。増えてきていないか、確認

雀卵斑様色素斑が増えてきていないか、確認

その次は半年や一年おきなどに様子を見せてもらう

幼児〜小学生くらいで頭部MRIを確認する

小学生であれば学校の勉強についていっているか、などを確認する

 

過去問

皮膚科専門医試験でこれまでに出題された、過去問を見てみます。

2009-42

神経線維腫症1型(Recklinghausen 病)で最も遅く出現する皮膚所見はどれか。1 つ選べ。

a.虹彩結節

b.Café au-lait 斑

c.小Recklinghausen 斑

d.若年性黄色肉芽腫

e.神経線維腫  

 

 

おわりに

今日は臨床の勉強でしたが、皮疹の出現時期などは今後も試験にでてくる可能性があります。

明日はNF1やカフェ・オ・レ spotに関連した過去問を見ていこうと思います。

お読みいただきありがとうございました。

 

 

noteでも皮膚科専門医試験対策情報を更新中です。

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よろしくおねがいします。

 

 

 

 

 

参考文献:神経線維腫症 1 型(レックリングハウゼン病) 診療ガイドライン 2018

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