病理伝票の書き方、プレゼンについて。
まず文字、表現のお作法について。
「認める」を使わない
「認める」を使わない
なかなか難しいのですが、このお作法、何人かの先生方がおっしゃっています。
病理伝票でも、病理のプレゼンでも、
× 3年前より背部に腫瘤を認めた
× リンパ球の浸潤を認めます
3年前より背部の腫瘤を自覚した / 家人に指摘されたが放置していた
→患者本人が3年前に気がついた、認識した、という意味なので、この文章は正しい
→また、背中のため本人は気がつかなかったが、家族に指摘された、という文章も正確です
病理のプレゼンでは、
「浸潤を認める」
〜を認める、
を多用してしまいますが、
・真皮浅層の毛細血管周囲にリンパ球が多数浸潤している
・真皮乳頭層に毛細血管が増生している
こういった表現をするといいでしょう。
認める、というのは、認識する、recognaizeする、ということの他、
判断する、目に止める、といった意味などがありますが、
辞書をみてみますと、
みと・める【認める】
1 目にとめる。存在を知覚する。気づく。
「人影を―・めた」
「どこにも異常は―・められない」
2 見て、また考えて確かにそうだと判断する。
「有罪と―・める」
「頭がよいと―・める」
3 正しいとして、また、かまわないとして受け入れる。
「自分の非を―・める」
「試験に教科書の持ち込みを―・める」
4 能力があると判断する。「世に―・められる」
5 気をつけて見る。じっと見る。 「五百の仏を心静かに―・めしに」〈浮・一代女・六〉
施行するを使わない
かっこいいから、という理由なのでしょうか。
プレゼンで多用する先生、多いですよね。
しかし、
施行する、という言葉を注意する先生もいらっしゃいます。
検査を実施した、行った、という意味で使われることが多いのですが、
× 生検を施行した
×CT検査を施行した
という表現、あまり好ましくありません。
この単語、法律用語なのです。
辞書を見てみますと
し‐こう〔‐カウ〕【施行】 の解説 [名]
1 実際に行うこと。政策・計画などを実行すること。実施。せぎょう。しぎょう。「命令を―する」
2 法令の効力を発生させること。せこう。「新税法を―する」
より
特に、プレゼンなどで使う言葉と思いますが、
・生検を行なった
・CT検査を実施した
こういった表現がすっきりするかと思います。
おわりに
お読みいただきありがとうございます。
またお立ち寄りください。