デルマ侍の皮膚科専門医試験 解答徹底解説

専門医試験解答解説勉強対策絡みのこと全て包み隠さず

MENU

薬疹の初歩

f:id:DermaSamurai:20220407110107p:plain

デルマ侍です。

 

本日は、薬疹について、このポイントは見逃さないでほしい、といったことについて書いていきます。

対象は、

・初期研修医の先生

・皮膚科1年目の先生

・内科や救急科の他科の先生

むけの記事になります。

 

あえて頑張って簡単な言葉で記載していきます。皮膚科専門医試験を控えているみなさんには曖昧な表現があるかもしれません。

 

 

薬疹

ざっくりと薬疹とは?一体?

薬疹、とっても色々あります。

いわゆる多くの先生がイメージする「全身に広がる赤い発疹』〜『じんましんみたいな』〜

以外にもいろいろあります。

 

薬疹= 薬によって生じる 皮疹

をすべていいます。

 

湿疹型薬疹、扁平苔癬型薬疹

光線過敏型薬疹 固定薬疹 多発固定薬疹

などいろいろあります。

 

じんましんと薬疹(鑑別になるのは多形紅斑型薬疹ですが)は似ていて、

救急外来にくる場合や、初診時には鑑別がつきづらいこともあります。

(→専門医的には経過、皮疹の浮腫の具合と色素沈着の有無などで見分けます)

 

よく間違えられるのが、

「薬疹のすべてが急性発症」と思われている先生が非常に多い。

例:3-4日前から抗生剤が新規にはじまって、体にあかい斑点がでてきた

 

これは間違い。慢性的な経過を辿る薬疹も多いです。

例:2ヶ月前から体がかゆくて、赤い斑点ができたりなおったりで皮膚科受診。

問診を取ると「3ヶ月前からアムロジピンが開始された。」

臨床は掻痒を伴う浮腫性紅斑、血液検査をとると好酸球増多があり。など

 

薬疹はかゆいのか?

 

かゆみを伴うこともありますが、かゆくないこともあります。

かゆくない薬疹の方が多いです。

 

すぐに皮膚科専門医に連絡した方がいい薬疹は?

 

皮膚科入局したての先生は上級医にすぐに相談した方がいいような薬疹

他科の先生であれば、すぐに連絡してほしい薬疹

 

皮膚をさわると、ずるっとむけるような所見がある場合

 

これは急いで連絡してほしいです。被疑薬の中止、ステロイドパルス、場合によりIVIG併用を早急に行います。

重症薬疹であるスティー ヴンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome; SJS)

中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis; TEN)の可能性があります。

皮膚のむける範囲により名前がかわります。

 

全身の紅斑を伴い、目の粘膜、口唇粘膜から血がでている場合

 

ティー ヴンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome; SJS)の可能性があります。発熱を伴うことがほとんどです。

こちらも被疑薬の中止、ステロイドパルス、場合によりIVIG併用を早急に行います。

 

翌日や週明け皮膚科受診で大丈夫な薬疹

 

粘膜症状を伴わない薬疹(じんましんのようなものも含む)は翌日、週明け受診で大丈夫です。

車運転などの有無を聞いた上で抗ヒスタミン薬、ステロイド外用をだして経過をみます。

専門医が見た場合も、同様の処方をして、数日後フォローにすることが多いです。

 

粘膜症状とは

・目の充血がないか

・口のなかがしみないか

口腔内を診察してびらんがないかを確認

・排尿時痛がないか

などを確認します。

 

口腔内ビランを伴うものの、粘膜症状が重症ではない薬疹では、

PSL プレドニン20-30mg/日を投与して、1-2週間で漸減中止をすることも多いです。

ただ、「出血を伴うようなびらん」「血痂あり」ではない場合は、抗ヒスタミン薬処方の上、翌日受診(翌日上級医相談)で大丈夫です。

 

夜間、土日に受診した薬疹患者への対応、処方

薬疹が疑われ、現病歴から特定の薬が疑える場合は、可能であればその薬の中止

を患者さんにお願いします。

しかし、中止していい薬かどうか判断ができない場合(抗血小板薬、甲状腺のメルカゾールなど)は、主科やかかりつけに相談をします。

重症薬疹でなければ被疑薬の中止は急がなくて大丈夫ですので、皮膚科専門医に週明けご相談でも大丈夫です。

そして飲水励行

ヒスタミン薬、very strongクラスのステロイド外用

を処方します。

 

患者への説明

 

水をたくさん飲むように説明します。

皮膚科で入院する場合も、点滴hydrationをすることが多いです。

飲水励行は簡単ですし、薬疹には有効です。

 

また、薬を中止したり、抗ヒスタミン薬などの薬を処方しても、

「皮膚の赤い斑点は全身を覆い尽くすように数日増えます」ということを説明します。

受診したあとに皮疹が拡大しますので、患者は不安になって問い合わせの電話をしたり、時間外受診をまた繰り返すケースがありますので、説明するといいでしょう。

 

 

おわりに

 

いかがでしたか?

自分のまわりのチームではこのような対応をすることがおおいですが、

地域差などはあるかと思います。

参考にしていただければ嬉しいです。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

 

薬疹についてはこのような記事も書いています。

 

dermasamurai.hateblo.jp

 

dermasamurai.hateblo.jp

 

 

皮膚科専門医試験でも薬疹に関連してこのような問題が出題されています。

 

dermasamurai.hateblo.jp

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

Copyright ©デルマ侍の皮膚科専門医試験 解答徹底解説 All rights reserved.