減汗性コリン性蕁麻疹
・減汗性コリン性蕁麻疹では、エクリン腺上皮細胞でCHRM3の発現が減弱→AchE(アセチルコリンエステラーゼ:アセチルコリンを分解する)が低下する
・自律神経の交感神経の終末から放出されたAch(アセチルコリン)は、本来汗腺に結合するが、減汗性コリン性蕁麻疹ではAchが結合できず、近傍にあり肥満細胞に結合する
・無汗部の肥満細胞は、Ach受容体を発現していない
・しかし、低汗部の肥満細胞はAch受容体をある程度発現しているため、
行き場のなくなったAchと肥満細胞が結合→脱顆粒→ヒスタミンを放出→膨疹の形成
・このため、低汗部では膨疹がみられるが、無汗部では脱顆粒が生じず、膨疹が生じない
・減汗性コリン性蕁麻疹では汗アレルギーの頻度が少ない
コリン性蕁麻疹
コリン性蕁麻疹では2つの機序が考えられる
エクリン腺上皮細胞でCHRM3の発現が減弱→AchE(アセチルコリンエステラーゼ:アセチルコリンを分解する)が低下する→余ったAchが肥満細胞のAch受容体にAchが結合
・男性に多い
・掻痒、ぴりぴりする
・汗をかくとなおる
間接型:(Ach間接誘導性汗アレルギー型)
(汗管閉塞などにより?)真皮内の汗漏出により、汗抗原が肥満細胞のFce受容体に結合し、脱顆粒する(汗アレルギーの関与)マラセチア特異的IgEが診断に有用
・発汗で増悪
・精査なし
・掻痒がある
・重症例でアナフィライキシー
AIGA特発性後天性全身性無汗症
アイガ
・男性に多い
・7割で減汗性コリン性蕁麻疹の合併
・四肢(特に下肢)の無汗
・ステロイドパルス療法が効果的(浜松医大では月1回、3クールのパルス療法で後療法のステロイド内服は行っていない)
・ステロイドの効果は7割以上
・自己免疫疾患の可能性
指定難病です。
皮膚科専門医試験 過去問
2019-3
全身または局所の多汗を伴いやすいのはどれか.3 つ選べ.
1.妊娠 2.糖尿病 3.腋臭症 4.コリン性蕁麻疹 5.アトピー性皮膚炎
コリン性蕁麻疹は全身の低汗や無汗を伴い、掌蹠や腋窩の精神性発汗は保たれるので、この問題では×
アトピーでは、一般に「減汗」があるとされています。ただし、塩原先生たちの報告では、アトピーは局所的な多汗も伴うことが示されています。
試験委員の室田先生の記事ではアトピーは減汗なので、答えは123でいいと思います。
http://www.igaku.co.jp/pdf/2028_beauty-03.pdf
腋臭症では、全例多汗ではありませんが、50%程度の症例では腋窩多汗も伴うようです。
こんな記事もかいています。
ミノール法についても出題があります。
おわりに
2018年平成30年度皮膚科専門医試験の解答解説集
note
目次つくりました。
e-learning
第119回総会 EL10-2 全身性発汗障害(AIGAと減汗性コリン性蕁麻疹)の診断と治療
影山 玲子先生 (浜松医科大学皮膚科学講座)