Borst-Jadassohn(ボルスト・ヤダースゾーン)現象って知ってますか?
BJP:Borst-Jadassohn phenomenon
Borst-Jadassohn現象 ボルスト・ヤダースゾーン現象
病理の用語でボルスト・ヤダースゾーン現象があります。
知っていますか?
BJPの定義
・表皮内に周囲の角化細胞と異なった形態を示す腫瘍細胞が境界明瞭な胞巣を形成して増殖する様
・表皮内の境界明瞭な腫瘍胞巣は
表皮内上皮腫intraepidermal epithelioma(=intraepidermal epithelioma of Jadassohn)
という
BJPを呈する腫瘍
・脂漏性角化症のclonal type、Bowen病、日光角化症、単純性汗腺棘細胞腫hidroacanthoma simplexなどがBorst-Jadassohn現象をきたす
→これらは臨床のダーモスコピーも似る
・通常のBowen病よりBJPを呈するBowen病のほうが浸潤癌になりやすい可能性がある(Berger P,1974)
過去の皮膚科専門医試験での出題
BJPを直接問う設問はなかったと思います。
2018-63で、線維上皮腫fibroepithelioma (Pinkus)は何の亜型か、という設題がでていて、
epithelioma 上皮腫→ fibroepithelioma of Pinkus ピンカスという基底細胞癌の稀な亜型があります。有茎ないし広基性の淡紅色ないし黒褐色腫瘤を呈する腫瘍で、症例報告レベルの珍しい腫瘍です。
基底細胞癌自体も、basal cell epithelioma基底細胞上皮腫という先生もいます。
(大原先生とかたしかそちらでしたね。)
参考文献
水野清香、他:臨皮74:1056-1060,2020
Berger P, et al:Br J Dermatol90:353,1974
新生児エリテマトーデス NLE
デルマ侍です。
新生児エリテマトーデスについて、勉強していきます。
新生児エリテマトーデス NLE Neonatal lupus erythematosus
・母親の自己抗体が胎盤を介して胎児および新生児に障害を与える
・SS-A抗体陽性の母親から出産された子供がNLEを発症する確率は52%
・日本人では、皮膚症状を伴うNLE児の親は、HLA-DRB1*1101/DQA1*0301ハプロタイプの頻度が高い
・皮膚症状の発症機序
日光により表皮細胞に発生したSS-A抗原に抗体が結合→活性化したリンパ球が抗体依存性に細胞障害をきたす
特徴
・出生時に20%が皮膚症状あり
・多くが生後1ヶ月までに発症
・露光部に環状紅斑
・病理はDLEに似る
DIF 50%で、BMZにIgG C3が線状にに沈着
皮膚症状に対しては
・生後6ヶ月ごろに自然消退する
・経過観察、遮光
重篤な合併症
・先天性心ブロック
発症すると不可逆的な経過
50%が新生児期のペースメーカーを要する
・妊娠18-26週頃、1-2週間おきに胎児モニタリングを行い、必要な場合デキサメタゾンやベタメタゾンを投与すること
参考文献
Norris DA:J Invest Dermatol 100:58S,1993
Miyagawa S, et al:J Invest Dermatol 108:881,1997
Cimaz R, et al: J Pediatr 142: 678,2003
吉田春奈、他:臨皮74,1046-1050,2020
皮膚筋炎と自己抗体 皮膚科専門医試験対策
デルマ侍です。
皮膚筋炎についてまとめていきます。
皮膚筋炎の自己抗体自己抗体の特徴
・多くが抗核抗体陰性
・2016年 ARS抗体などの自己抗体が保険適応
・大量γグロブリン療法 保険適応
・抗MDA5抗体、抗TIF1γ抗体 治療により抗体価が陰性
各種抗体の疾患プロファイル
・抗Mi-2抗体 定型的な皮膚筋炎
・抗ARS抗体 慢性間質性肺炎を高率に合併
早期に強力な免疫抑制療法を行うと予後後改善
・抗TIF1γ抗体 成人で50-75%に悪性腫瘍合併
・抗TIF1β抗体 珍しい。間質性肺炎や筋炎がない。
過去問
皮膚科専門医試験で過去に出題された問題をみていきます。
2017-82過去問
問題 82.悪性腫瘍を高頻度に伴う疾患はどれか.2 つ選べ.
1. 抗 CCP 抗体陽性の関節リウマチ
2. 抗 TIF-1γ 抗体陽性の皮膚筋炎
3. 抗 Sm 抗体陽性の全身性エリテマトーデス
4. 抗RNA ポリメラーゼ III抗体陽性の全身性強皮症
5. 抗 M3 ムスカリン作動性アセチルコリン受容体抗体陽性のシェーグレン症候群
答え 24
該当する設問を含む皮膚科専門医試験の過去問の解説をこちらでも行っています。
2017年平成29年度の皮膚科専門医試験の年度別解説集はこちら。
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おわりに
お読みいただきありがとうございました。
ゲーベン
有効成分(1g中)
スルファジアジン銀 10mg
添加物
セタノール,ミリスチン酸イソプロピル,プロピレングリコール,メチルパラベン,ブチルパラベン,
その他4成分
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/dc/gbn.pdf
より引用
その他4成分ってなに…
セタノールとパラベンが入ってますね。
パラベンはJSA2015 で1.0%の陽性率です。
JSA ジャパニーズスタンダードアレルゲンについてはこちら
https://dermasamurai.hateblo.jp/entry/2021/03/15/090000
2020-57皮膚科専門医試験
2020-57皮膚科専門医試験
問題 57.疾患に関係する分子が同一である疾患の組
み合わせとして,正しいのはどれか.
1. Darier 病 ――――――― 肥満細胞症
2. 水疱性膿痂疹 ――――― 類天疱瘡
3. 単純型表皮水疱症 ――― 尋常性天疱瘡
4. Herlitz 型表皮水疱症―― 落葉状天疱瘡
5. 栄養障害型表皮水疱症 ― 後天性表皮水疱症
答え5
2020-56皮膚科専門医試験 答え
2020-56皮膚科専門医試験 答え
問題 56.正しいのはどれか.2 つ選べ.
1. 遺伝性皮膚疾患とは通常,多因子遺伝病も含む.
2. ヒトゲノム中に約 22,000 個の遺伝子が存在する.
3. 現在の出生前診断は,胎児皮膚生検が主流である.
4. 常染色体優性遺伝では,経験的危険率が推定できる.
5. 絨毛生検(胎児由来の胎盤絨毛を採取)は,妊娠 10 週頃に可能である.
答え25
この問題は正答率が低く、6%だったようです。
皮膚科専門医試験2020年令和2年度の解説解答についてはこちらでもまとめています。
2020年の問題についてまとめています。
また、この問題については学会から講評がでていますので確認しましょう。
専門医試験対策にもデルマ侍をよろしく。
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noteでも皮膚科専門医試験対策情報更新しています。
2020-55 皮膚科専門医試験 答え
2020-55 皮膚科専門医試験 答え
問題 55.ATP2A2 遺伝子変異により発症する常染色体優性遺伝性疾患にみられる所見はどれか.
1. 難聴
2. 視力障害
3. 皮膚の過伸展性
4. 弾性線維の変性とカルシウム沈着
5. 脂漏部や間擦部の角化性丘疹の多発
答え5
皮膚科専門医試験2020年令和2年度解説解答はこちらから
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