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抗ヒスタミン薬 腎臓と肝臓にからめて まとめノート

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皮膚科専門医のデルマ侍です。

日常よく使う、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬について。

腎機能障害、肝機能障害の患者に使うときはどれを使えばいいか。

添付文書はどう書いてあるか。

 

皮膚科の三種の神器じゃないですけど、普通に保険診療の外来をやっておられたら、処方しない日はないんじゃないでしょうか。

腎臓か肝臓が悪い方はかゆくなりやすいので、抗ヒスタミン薬を検討する場面も多いですが、薬のチョイスには悩むこともあります。

 

詳しくなっておきたいです。皮膚科専門医試験にもからめて。

勉強していきます。

 

 

はじめにまとめ

腎障害あるときはアレジオン、エバステル

肝障害あるときは、タリオン、アレグラ、ビラノア

が使いやすい。

 

腎機能障害と薬

腎機能障害のときに減量するしないとはどういうことかについて。

 

腎障害の薬剤師用で、注意すべきは、
尿中未変化体排泄率の高い薬物 かどうか、

という点です。

特に尿中未変化体排泄率70%以上に着目します。


そのような代謝の薬は、腎機能低下により体内に蓄積しやすい のです。

 

※これの例外としては、アレグラ。

アレグラは排泄率が便90%尿10%と尿排泄率は低いが、腎機能障害時には半減期が伸びるため、例外的に腎機能障害時に減量が必要です。

他の薬剤は、尿排泄率が高いものは腎機能障害時には減量投与が必要です。

 

ヒスタミン薬の分類においては、腎障害あるときはアレジオン、エバステル

が使いやすいです。

 

腎機能障害と添付文書

 

例えば、エバステルは添付文書では肝機能のことは書いてありますが、腎機能の注意書きはありません。「高齢者では、1日1回5mgから投与するなど注意すること。」といった文言はあります。

 

肝機能障害と薬

薬の分類についてみていきます。


●肝代謝型:エバステル、アレジオン 
●肝代謝型だけど腎機能にも留意する必要がある薬剤:クラリチン、デザレックス 、ルパフィン


●腎排泄型:ザジテン、ニポラジン、タリオン、アレグラ、ビラノア 
●腎排泄型だけど肝機能にも留意する必要がある薬剤:アレロックジルテック、ザイザル


まとめると肝障害あるときは、タリオン、アレグラ、ビラノア

が使いやすいです。

肝機能障害と添付文書

例えば、タリオンの添付文書では

「慎重投与」に「腎機能障害のある患者では、本剤の血中濃度を上昇させることがある。また、高い血中濃度が持続するおそれがある」とされています。

しかし、肝機能上昇の副作用はあげられていますが、肝機能障害患者への注意などのコメントは記載されていません。

すなわち、タリオンは肝機能が、添付文書からは、悪い人にも使いやすい薬、といえます。

 

腎機能障害で使いやすかったエバステルの添付文書には、「特定の背景を有する患者に関する注意」において「肝機能障害又はその既往歴のある患者では 肝機能異常があらわれるおそれがある。」と記載されています。

 

肝臓にも腎臓にもちょっと気をつけないといけないルパフィンは添付文書で「腎機能障害患者 活性代謝物であるデスロラタジンの血漿中濃度が上昇するおそれがある。」 「 肝機能障害患者 血中濃度が上昇するおそれがある。」という記載があります。


腎機能ごとに減量方法が添付文書に書いてあるもの

腎障害あるときはアレジオン、エバステル

と先にお話しました。この二つは末期CKDやonHD患者でも減量の必要が基本的にありません。

ここでは、腎機能障害がある患者でも使用は可能であるが、GFRをみて減量をしなくてはならない薬剤について説明します。

 

アレグラ60mg

成人は1回60mg 2T2Xが普通
Ccr <15,onHD 1回30mg 1日2回
15<Ccr<60 1回30-60mg 1日2回
前述していますが、アレグラは排泄率が便90%尿10%と尿排泄率は低いが、腎機能障害時には半減期が伸びる。例外的に腎機能障害時に減量が必要な薬となっています。


ザイザル5mg

成人は1回5mg 1T1Xが普通
10<Ccr<29 1回2.5mg 週2回
30<Ccr<49 1回2.5mg 隔日
50<Ccr<79 1回2.5mg 1日1回

ザイザルには注意ポイントがあって、この項目の他の薬剤と違い、重篤な腎機能障害の患者では禁忌」とされています。具体的にはこの添付文書記載外のCcr10以下と考えて良いと思います。高齢者投与には眠気も強いですし注意が必要です。


タリオン10mg

成人は1回10mg、2T2X (1日20mg)が普通
Ccr<15 onHD 5mg-10mg/dayと減量
15<Ccr<60 低用量


アレロック5mg

成人は1回5mg 2T2X が普通 
Ccr<15 onHD 1日1回2.5mg
15<Ccr<60 1回2.5mg-5.0mgを日1-2回分服

 

ザイザルは添付文書上、Ccr<10の重度の腎機能障害は禁忌なことは記憶しておきます。

(ジルテックも)

 

 

他のポイント

第2世代抗ヒスタミン薬はBBBを通過しにくいとされています。


今日の治療薬や、「腎機能別薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会 JSNPもご覧ください。

皮膚科ブログ的には、

CCr10以下 重度末期CKD

HD表記はCAPDも含むものとしています。

 

おわりに

いかがでしたか?

参考になれば幸いです。

このような記事も書いています。

dermasamurai.hateblo.jp

 

添付文書と自分

今日はちょっと脱線してお話。

ブログを何回かみていたいだ先生には伝わると思いますが、筆者は添付文書をしょっちゅうみています。見るのも好きです。

でも、初期研修医や皮膚科なりたての頃は見るのもいやでした。文字ばっかりだし、わけわかんないし。

今になってみてみると、結構面白いことたくさん書いてあるんですよね・・・

なにより実臨床にも使えるし、専門医試験対策にもめちゃくちゃ有用だし。

 

添付文書や教科書にかいてあるからこう、といったステレオタイプな人間にはもちろんなりたくないです。別記事で書く予定ですが、自分は基本疑り深い性格です。いろんなものを読んでも、結構高頻度に「本当かよ?」と思って調べ直します。

大学の時の先生、教授や今までの先輩方から、「常に疑う、鵜呑みにしない」姿勢を忘れないよう、教育されてきました。

しかし、自分で新しい知見を切り開いていくにも、まずは基本、今確からしいと考えられていること、を十分認知した上で次のステップに進んでいくものだと考えています。

基本すっとばして、新しい情報ばっかり飛びついていっても土台なくすかすかです。

添付文書や有名な教科書、ガイドラインは、今の現状はかなり確からしい、とされてている情報たちです。まずはそれを知り理解した上で、新しい知見を探っていければと思います。

ぜひ、添付文書(あとガイドラインも!)とお友達になってください。(え)

 

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