基底細胞癌の手術のマージンについて
デルマ侍です。
今日は基底細胞癌の手術でのマージンについて、ガイドラインと過去問を踏まえて復習していきます。
基底細胞癌とは
basal cell carcinoma BCC 基底細胞癌
ガイドラインより「基底細胞癌は毛包間上皮や毛包の基底細胞を由来とする癌腫である
組織学的に細胞質が乏しくクロマチンが濃染する basaloid な腫瘍細胞が,palisading を 伴って島状ないし胞巣に増殖しているのが特徴である」
ガイドラインから試験対策
ガイドラインの中で、試験対策に重要、覚えておくべきポイントをあげてみます。
・日本でも欧米でも皮膚癌 罹患数 1位
→日本のみならず、欧米でも一番多い皮膚癌はBCCです。過去問あり
・基底細胞癌の発症予防のために脂腺母斑 を切除した方がよいという十分なエビデンスは存在しない
→ひと昔前は、脂腺母斑はBCCの発生母地となるため積極的な切除が推奨されていましたが、現在ではcontroversialな事案となっています。
脂腺母斑に合併しやすい二次腫瘍も過去問ありですので、おさらいしておきます。
・日本では結節・潰瘍型が多い
基底細胞癌のマージン:ガイドラインから
皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第 3 版 基底細胞癌診療ガイドライン 2021
ガイドラインからは、
水平マージンについては、「低リスク群では 4 mm マージンで脂肪織を十分含めるレベルで,
高リスク群では可能で有れば迅速診断や二期的手術を用いて,さらに広いマージンでの切除を推奨」
と記載されています。
では、高リスク群では、どのくらいマージンをとればいいのか、については、
「高リスク群に ついて NCCN ガイドラインでは「より広い切除マージ ン」との記載であり,具体的に明示していない
本邦ガイドライン(第 2 版)では 5~10 mm を確保し, 術中迅速診断や二期的手術を用いるべきとなった.」と書かれていますが、最新の第三版では結局、高リスクでのマージンについて具体的な数字は推奨されていません。
垂直マージン(深部断端)については、「切除マージンを考える際に,深部マージンも問題に なる.深部方向については基準となる境界部位がないために,深部境界の決定には苦慮する.」
と記載されています。
BCCの高リスク、低リスクの分類は
ガイドラインでは
日本人には少なく白人に多い、境界がわかりづらいモルフェア型や、
顔面のマスクに隠れる部分のものが高リスク、となっています。
マージンまとめ
低リスクBCC 4mmマージン
高リスクBCC 可能なら4mm以上マージン
低リスクか高リスクかは表確認。
過去問
関連する過去問をみていきます。
2015-56
5mm 以上離して切除すべき基底細胞癌はどれか.2 つ選べ.
1.頬部, 長径約 5mm の結節型
2.前胸部,長径約 15mm の表在型
3.鼠径部,長径約 10mm の結節型
4.前額部,長径約 5mm の再発病変
5.鼻根部,長径約 5mm の斑状強皮症型
表と照らし合わせて見てみます。
答えは45
該当する設問の解答、解説はこちらから
【解答】2015年平成27年度皮膚科専門医試験全問解説解答
おわりに
基底細胞癌はアグレッシブタイプと非アグレッシブタイプでわける分類があります。
こんな記事も書いています。
SCC有棘細胞癌のマージンについては、こんな記事も書いています。
noteもやっています。
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参考文献:皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第 3 版
基底細胞癌診療ガイドライン 2021