デルマ侍の皮膚科専門医試験 解答徹底解説

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せつ、よう、炎症性粉瘤

せつ : 毛包炎が進んで、毛穴周囲の少し広い範囲に発赤、腫脹をきたす

furuncle 

boil

 

よう : せつが複数の毛穴に広がって連なったもの(→cluster of furuncles )

carbuncle 

 

せつ腫症 : せつが長期間にわたって反復、多発するもの

furunculosis

 

炎症性粉瘤 : 嚢腫壁が一部破れるなどして、内部の角質に対する異物反応が起きて赤く腫れる。

 

化膿性粉瘤 : まれ。細菌感染を伴って広範囲に発赤、腫脹をきたす。

DMなどをベース。

 

 

 

 

 

 

臨床的には、外側からも見た目が異なる。

粉瘤では一番表皮と連続している部分に臍 delleと呼ばれる黒点があるが、炎症をきたしても残っていることもある。

また部分的に炎症が少ない場合は、その部分が上から見ると青色に透見されることがある。

 

せつ、ようは、膿点が認められる。

ようでは複数の膿点を認める。

発赤している場合、皮下にあるのは膿(細菌、好中球)で、粥状物はない。青色にも見えない。

 

よう

f:id:DermaSamurai:20221031125241j:image

Wikipedia より

 

 

また、

 

 

粉瘤では切開すると、中から角質の残りが粥状にざらざらと残っているものが確認できたり、

(←粥状物 じゅくじょうぶつ、)

嚢腫壁が肉眼的に認められることもある。

ATLLの皮膚型

デルマ侍です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時々見る、ATLL (ATL)

成人 T 細胞白血病・リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma)

 

 専門医試験でも時々でます。

2018-70など

 

 

1970年に初めて知られた病気で、

日本国内では九州、沖縄、また北海道で多いと言われています。

 

臨床型は、日本では、下山分類があります。

 

f:id:DermaSamurai:20221027110817j:image

 

皮膚悪性腫瘍ガイドライン第 3 版 皮膚リンパ腫診療ガイドライン 2020

より

 

 

 

 

皮膚科医としては、

皮疹があって、生検してATLLが疑われた場合に、下山分類で、どのタイプになるのか、が毎回気になってくるところであるのだが、

 

 

下山分類は、皮疹の有無は関係なく、

どのステージでも皮疹はでてもいい。

 

 一部のエキスパートオピニオンでは、

「皮膚型ATL」(皮膚型ATLLや皮膚型ATL/ATLLなど)とすることもあるが、

明確な定義はなく、

多くの皮膚科医が見るのは「血液に異常がなく皮膚病変だけある」場合で、

多くは「くすぶり型」に含まれる。

くすぶり型の一部が「皮膚型」ということになる。

 

下山分類の定義では、

 

くすぶり型は

・末梢血異型リンパ球が5%以上

・異型リンパ球が5%未満だが「皮膚か肺」にATLLの腫瘍細胞の存在が確認される場合

 

となっている。

 

皮膚科医としては、

「異型リンパ球が5%未満だが皮膚病変にATLLの腫瘍細胞の存在が確認される場合」を皮膚型として欲しいのですが…

正確な定義は、多分今のところないです。

 

 

「腫瘍細胞の存在の確認」は、組織からウイルスの【モノクローナルな取り込み】の証明が必要です。

 

例えば、

HTLV-1抗体陽性

・皮膚病理でリンパ細胞の異型、腫瘍性増殖があり、リンパ腫が疑われる

だけでは、皮膚のATLとは診断できませんので、注意が必要で、

ウイルスの存在を証明するには

・リンパ腫が得意な大学病院の研究目的

・MLnetで調べてもらう

ことが必要で、一般病院の染色だけでは証明できません、

面倒ですね。

 

ガイドラインにも

「ATLL の特異疹とは、ATLL の臨床型は問わず血清抗 HTLV-1 抗体陽性で、皮膚組織に HTLV-1 のモノクローナルな取り込み」が認められるもの、とされています。

 

 

 

MLnetとは?

 

SRL外注で行っている、

悪性リンパ腫総合解析検査「ML-NET」

 

https://test-guide.srl.info/hachioji/test/detail/T00000053

 

 

 

ここ最近の先生方でリンパ腫にお詳しいという印象が(個人的に)あるのは

戸倉先生

岩月先生

菅谷誠先生

 

トルツの注射は痛くなくなった!?

デルマ侍です。

 

 

 

 

 

 

 

トルツの注射は痛い らしい

 

 

 

そんな話昔よく聞いていましたよね。

 

 

実はイーライリリーのホームページにも、キューアンドエーに載っているくらいでした。

 

 

この度、トルツを「痛くない」注射にするべく!?、(注射なのでそれなりに痛いのですが、ほかのbioより痛い、という患者さんのご意見)痛いらしいから出すのやめておこうという皮膚科医が多少なりともあるだろうと言う、

風評被害を撤廃すべく?(笑)、

添加剤変更がなされたようです。(2022年9月)

 

 

 

ただこの、痛い痛くないというのは、評価が難しくて、

正確には、

・コセンティクスとトルツを両方打ってみた

人のnをたくさんあげて、比較検討

しないとダメで、

 

・トルツを打っていた人がバイオスイッチしてみたら、同じ皮下注なのに痛がらなくなった

 

とかなら評価できますが、

 

実際のところは

「コセンティクスを打ってる患者層よりも、トルツを打ってる患者層 の中のほうが、

皮下注を痛がる率が高い気がする」

という、一部はエキスパートオピニオン的なものが一人歩きして、

「トルツは痛いらしい」

という話になっていると思います。

 

 

痛みの評価って難しいですよね。

 

 

 

 

 

トルツの注射がどうやら痛いらしい、理由には、

クエン酸

・pH

・投与量

などなどと言われていましたが、

個人的にはあんまり投与量は関係ないかと思いました。

じんましんに対するゾレアや、初期投与量コセンティクスも2本打ちですけど実際痛がる患者は少ないのが自分の印象でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トルツの添加剤変更 2022年9月

 

有効成分 イキセキズマブ は同様

 

変更前

クエン酸ナトリウム

無水クエン酸

塩化ナトリウム

ポリソルベート80

 

 

変更後は

精製白糖

ポリソルベート80

水酸化ナトリウム 適量

 

 

 

となっています。

 

 

今後も適材適所でbioを開始していき、

トルツの使用感をもっと実感していけたらと思います。

 

 

お読みいただきありがとうございます。

皮膚科医の先生方が皮膚科を選ぶまで

こんにちは。

 

JDAに載っていた記事などをもとに、

高明な皮膚科医の先生方たちがなぜ皮膚科を選んだのか、

親は皮膚科医なのか、

などについてメモがてら。

 

 

高橋 健造先生 琉球大学

札幌出身

お父様は小樽の皮膚科開業医とのこと。

 

 

山本 明美 先生 旭川医大

「皮疹という色形、部位という情報から診断に至る過程が好き」

「学生時代と顕微鏡をのぞくのが好き」

「形態学が好き」

とのこと。

 

自分事ですが、

侍も形態学はかなり好きで、形の細かな違いに熱くなるタイプです。

また、恐竜が好きでしたので、(今も)、図鑑も小さい頃よく見てました。

絵合わせも得意なので、そこは皮膚科医を選んでよかったなぁと思います。

形態学が好きな先生は多そうですね。

山本先生はブログやYouTubeもされています。

 

https://akemiishidayamamot.wixsite.com/my-site/blog

 

https://m.youtube.com/channel/UCbwQXnkZ6_4Bp2ff_taEX1w

 

 

 

椛島 健治 先生 京都大学

 

椛島先生は、お父様は転勤族で、高校は3校も通われたようです。

小倉高校、柏陽高校千葉高校とのこと。

高校だとお一人で親元を離れて生活する学生さんも増えてくる印象があります、高校生の間に2回以上転勤され、3つの高校を経験された方は少なそうに思えます。いろんなご経験をされてきたのだなぁと思います。

卒後は米軍病院で研修されたあと、アメリカで内科のインターンも経験されており、内科を主に志望されていたようです。

しかし、皮膚科を志望されたのは、

・目に見えて変化が追えること

・五感を使った診療ができること

とのことです。

 

椛島先生もブログをされていますね。

http://www.kenjikabashima.com

 

 

 

皮膚科は、治ったか治っていないか患者さんと医者が共有できる、とてもやりがいのある診療科だと思います。

医者がちゃんとうまくやってるかどうかも患者にわかりますからね。

 

 

 

朝比奈 昭彦 先生 慈恵  

 

朝比奈先生は、内科と迷われたそうです。

部活の部長の先生や先輩に皮膚科に勧誘されたことも大きかったそうです。

また

「病気を目で見る事ができますので、経験を積めば自信を持ってその場で診断することができ、また、患者さんの行動を理論的に推理しながら正解にたどり着ける面白さがあります」

「治療の過程を患者さんと共有して、治る喜びを分かち合えます」

ともおっしゃっています。

 

 

 

加藤 則人 先生 京都府

 

医学部に入られたときは「ブラックジャックのような外科医」に憧れていらしたそうです。

ご自宅にあった、家庭の医学を愛読されていた小学生時代であったようです。

皮膚科にされた理由は「症状や検査結果から病態を理解して診断し治療を考える内科的な思考過程と、手術で患者さんを治すという子どもの頃からの夢を両立できそうな診療科」であったからのようです。

 

 

 

 

 

今福 信一 先生 福岡大学

 

長崎ご出身で、

ご祖父様、お父様か皮膚科医で開業されていたようです。

それがきっかけで皮膚科医になられたようです。

 

 

 

久保 亮治 先生 神戸大

自称「オタク」と公言されておられます。

でも、周りを見ていても「オタク」気質が多い皮膚科医の先生は非常に多いと思います。

久保先生も「ハマったらとことん突き詰めて」しまうとおっしゃられていますが、

特に研究畑の先生はそういった方が多いですね。

室内楽とカメラがお好きなようです。

お父様が皮膚科医とのことで、皮膚科医になったきっかけもそちらがあったようです。

 

 

 

 

 

 

室田 浩之 先生 長崎大学

医学部学生の頃は小児科志望だったようです。

お父様は皮膚科でご開業されていたようです。

 

ご友人が釣りの際に、

魚の背びれの毒針がお友達の足に刺さってしまい、診察してくださった皮膚科医の姿をみて皮膚科医を志したことがきっかけとのことです。

 

 

 

大塚 篤司先生 近畿大学

多くの本をご執筆されており、ネット記事などでも多く発信されており、Twitterでも精力的にご活躍されています。

メディアに一番近い皮膚科教授の先生のお一人、と思います。

大塚先生は幼い頃小児喘息で悩まされており、小児科とも迷われたようですが、

診療、特に癌診療と、研究を両立できる診療科はないか、という点で皮膚科を選ばれたようです。

 

 

 

青山 裕美 先生 川崎医科大学

 

「問診や皮疹をみて診断に至る過程に興味」を持たれたようです。

また、

「患部をみるのに技術と時間がかかる診療科に比して、皮膚科では病変を直視できるので習得

簡単なのでは」

とおっしゃられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教授になられている先生も、親御さんが開業、という先生もちらほらいらっしゃるのだなぁと思ったのが一つの感想でした。

 

 

お読みいただきありがとうございました。

2021-9 皮膚科専門医試験

2021-9

 

 

 

皮膚科専門医試験

 

 


老化に伴って生じる皮胸の変化や病態のうち、主に UVA が関与しているのはど
れか。
1 Asteatotic eczema
2. Lentigo maligna
3. Seborrheic keratosis
4 Solar elastosis
5 solar lentigo

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021-9

 

答え 4

抗真菌剤の投与量 皮膚科専門医試験

こんにちはデルマ侍です。

 

 

抗真菌剤の投与量について過去問がありましたので、見てみます。

Twitterでも先日ぼやきました。

 

 

2017年の過去問になります。

 

 

2017-29

 


問題 29.爪白癬の治療法について本邦で保険適用がある標準的な用法・用量はどれか.

1. イトラコナゾール 100mg/日を連日投与する.

2. イトラコナゾール 200mg/日を 1 週間投与し,3 週間休薬することを 3 回繰り返す.

3. イトラコナゾール 400mg/日を 1 週間投与し,3 週間休薬することを 3 回繰り返す.

4. テルビナフィン塩酸塩 250mg/日を連日投与する.

5. テルビナフィン塩酸塩 500mg/日を 1 週間投与し,3 週間休薬することを 3 回繰り返す.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがですか?

 

答えは3です。

 

 

テルビナフィンは、1日1回内服で、125mg/日

海外ではテルビナフィンの投与量は、 250mg/日内服となっています。

パルス療法はありません。

 

添付文書は、

 

用法及び用量
 

 

 
通常、成人にはテルビナフィンとして125mgを1日1回食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

 

となっています。


イトラコナゾールのパルスでの投与量は、200mg/回x2 回 /日を 1 週間投与し、3 週間休薬 3クール

となっています。

 

添付文書は、

「表在性皮膚真菌症(爪白癬以外):
通常,成人にはイトラコナゾールとして50~100mgを 1 日 1 回 食直後に経口投与する。ただし,爪カンジダ症及びカンジダ性 爪囲爪炎に対しては,100mgを 1 日 1 回食直後に経口投与す る。なお,年齢,症状により適宜増減する。
ただし, 1 日最高用量は200mgとする。
・爪白癬(パルス療法):
通常,成人にはイトラコナゾールとして 1 回200mgを 1 日 2 回 ( 1 日量400mg)食直後に 1 週間経口投与し,その後 3 週間休薬する。これを 1 サイクルとし, 3 サイクル繰り返す。なお, 必要に応じ適宜減量する。」

 

 

 

この時には発売されていませんが、

今はネイリンも使用可能です。

(2019年6月から長期処方加納)

 

ネイリンのポイントは、

・妊婦禁忌

・12週内服

・ワルファリン併用注意

・CYP3Aにより代謝される、

シンバスタチン、ミダゾラム 併用注意

あたりをおさえておきます。

(併用注意と禁忌は分けて理解します)

 

 

 

 

またこの問題は、選択肢の並びからも、答えが1つならば、テルビナフィンはまず選びにくいのですが、皆さんはどのように感じましたか?

 

小手先テクですが、このような記事も書いています。

 

https://dermasamurai.hateblo.jp/entry/20210507/1620338400

 

https://dermasamurai.hateblo.jp/entry/20210331/1617148800

 

 

 

 

 

 

あと、テルビナフィンは、日本の添付文書でカンジダの適応がありますが、

効かないのでやめましょう。

イトラ使ってくださいね。

これ、よくわかんないのですが、後輩にも続出していて、何回も言ってるのにまた処方してるのを見るんですわ。

なんでなんでしょう…

後輩がテルビナフィン出した後(しかも6ヶ月)、イトラやり直しから自分が担当したこともあります。

ここで愚痴ります…

みなさんは出さないように…

2021-8皮膚科専門医試験

問題 8
光角化症に対するイミキモド(ベセルナクリーム)外用治療について保険適用
上、正しいのはどれか。


1手背の病変にも外用できる。
2.禿頭部の病変にも外用できる。 
3. 4 週間塗布後、2 週間体薬する。
4 1 日 1 回、治療部位(50cm2 までを目安)に最大 2 包まで外用できる。
5 顕在化した病変および周囲の癌化準備領域を含めて治療する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答え 2 5

 

皮膚科専門医試験

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