多いのは感染性粉瘤ではなく、炎症性粉瘤
粉瘤
粉瘤言葉の定義
海外では、上皮嚢胞epithelial cystが大きい病名で、その中に表皮嚢腫epidermal cystと外毛根鞘嚢腫trichilemmal cystが含まれる
粉瘤、アテローマは俗称
昔の人は、ねぶつ、おでき、と言ったりする
炎症性粉瘤
赤く腫れ上がった粉瘤は、炎症性粉瘤であって、感染性粉瘤ではない
異物反応による炎症であり
細菌培養は陰性か、皮膚常在菌が少量であることが多い
英語の教科書での記載
アンドリュースにもこのように記載がある
(Andrew’s diseases of the skin13版P679)
Epidermis cysts may rupture and induce a vigorous foreign body inflammatory response, after which they are firmly adherent to surrounding structures and more difficult to remove.
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These episodes are often misdiagnosed as “ infection” of the cyst, but cultures are usually negative, and antibiotic treatment is not required.
治療
局所麻酔下で中央部をメスで切開か、デルマパンチ、トレパンでくりぬき
排膿、嚢腫壁や角質、粥状物を取り除き、洗浄
抗生剤は必要でない。出すとしたら毛包の免疫調整作用があると考えられるミノサイクリンを処方
内容物除去後、ポケット収縮のため、ユーパスタなどの外用
感染を伴う例は稀
感染を伴うことも稀にあるが滅多にない
感染を伴うのは、未治療コントロール不良の糖尿病(イメージはHbA1c 10%以上など)や重度の免疫抑制状態の場合など
感染を伴う場合はセフェム系抗菌薬などを検討
自分が経験したガチの感染性粉瘤はレア
臨床的には、粉瘤の周囲を手拳大以上に発赤が拡大していたり広範囲に皮下膿瘍を伴うなど
自分は皮膚科医歴around 10 yearsで、感染を明らかに伴っていたのは自験例では2例くらい
使うとしたらミノサイクリン
毛穴周囲の細菌増殖を抑えるだけでなく、真皮の炎症を抑える作用を期待して使用
テトラサイクリン系の抗生物質ミノサイクリンは静菌作用の他に,多様な抗炎症作用と免疫抑制作用を有する
コラゲナーゼ活性抑制,活性酸素除去・産生抑制,末梢血リンパ球の増殖抑制,ホスホリパーゼA2活性抑制,TNF(腫瘍壊死因子)-α産生抑制作用などを有しているとされる
ルリッドも同様の作用あり
参考文献
Andrew’s diseases of the skin13版
皮膚科のくすりの使い方 海老原全先生 編集
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