皮膚科で使う抗生剤
デルマ侍です。
以前抗生剤 特に内服について、
第一世代セフェム系が使いやすい、という記事を書きました。
今日は蜂窩織炎などのケースでの抗生剤使用について書いて行きます。
なんとなく、で使うことも多いと思いますが、復習していきます。
ペニシリン系
よく使うのは、ペニシリンとβラクタマーゼ阻害薬との合剤です。
・オーグメンチン配合錠 アモキシシリン+クラブラン酸
・ユナシン アンピシリン+スルバクタム
・ゾシン タゾバクタム+ピペラシリン
オーグメンチンは起因菌が特定できないような蜂窩織炎、咬傷などに有効です。
アモキシシリンの量を増やす目的で、オグサワの処方をすることもあります。
逆に、起因菌が特定できるような、つまり、皮膚表面の手術前後の感染予防で黄色ブドウ球菌をカバーできればいい場合は第一世代セフェムのケフレックス、ケフラールがよい適応となります。
ユナシンは糖尿病性足壊疽の感染コントロールにも有効とされています。
ゾシンは緑膿菌もカバーできますが、緑膿菌のみであれば、ペニシリン十分量単独のみでよいため、複合感染を疑う場合に投与することが考えられます。
ペニシリンの中の、広域とされる、ピペラシリン
こちらは一部軟部組織感染で使うことがありますが、あまり皮膚科では出番がないと思います。
セフェム系
MRSAではない黄色ブドウ球菌、連鎖球菌をカバーする場合は、
セファメジン(セファゾリン)や、ケフレックス(セファレキシン)を使用します。
壊死性筋膜炎の診断には至らないけれども、腫脹が強く水疱、血疱を伴うような「重症蜂窩織炎」と考える際には、クリンダマイシンを併用することも経験上あります。
投与量
投与量は
ユナシン 1.5g q 6hr iv → 3.0g q 6hr v
ゾシン 4.5g q 8hr or q 6hr iv
オーグメンチンをオグサワで出す際は、
オーグメンチン1回1錠+サワシリン(アモキシシリン)1回1錠 1日3回PO
セファメジン 1g q 8hr iv
ケフレックス 1回1錠250mg 4回/日
ケフラール 1回1錠250mg 3回/日
侍の処方
臨床ではこのように使っていますが、一例として。みなさまのご意見あれば、コメントかTwitterくださると嬉しいです。
軽くない蜂窩織炎 入院
入院してくれない症例はオグサワ
溶連菌っぽい蜂窩織炎、丹毒はユナシン
(本当はペニシリン単独でいってみたいですが・・・勇気がでず)
(黄色ブドウ球菌っぽい〜とか、溶連菌っぽい〜というのは見分け方があって、論文でも議論しているものもあります。培養の陽性率は30-40%とも言われるので、臨床の違いは結構使えます。いつか記事にします。)
猫咬傷 オーグメンチン
深いときはオグサワ
犬咬傷 傷にもよるが軽いときは処方しない。これも洗います。
炎症性粉瘤 処方しない そのかわりよく洗う!洗う!洗う!
抗炎症効果を期待して、ミノマイシンやルリッドを出すことはあります。
感染性粉瘤 未治療DMがある場合などは、ミノマイシンやルリッドか、ケフレックスを使用することがあります。
こんな記事も書いています。
おわりに
いかがでしたか。
動物咬傷について、このような記事も書いています。
犬咬傷は見極めれば抗生剤なくてもしっかり治ります。
生検や手術も抗生剤は基本的にあまり出しません。(植皮などを除く)
DMがあったり、傷の手当がうまくできなさそうな場合は出したりします。
出さなくても傷の経過は綺麗です。
縫合も外傷や小手術は非滅菌手袋でいいとおもっている派です。
またお読みいただければ幸いです。