食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis) FDEIAについて。
勉強していきます。
以前このような記事も書きました。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーとは
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
food-dependent exercise-induced anaphylaxis FDEIA
特定の食物を摂取した後、1~4時間以内に運動負荷がかかることにより、蕁麻疹やアナフィラキシーを生じるものとされています。
大事なのは、運動負荷。食べただけでは起こりません。
( ここで脱線クイズ。
Q 食べてから数時間後に遅発性アナフィラキシーで起こる食べ物はなんでしたか?答えはブログの最後に。)
アスピリン、NSAIDs内服によりさらに症状が悪化するとされています。
そのため、入院などで小麦アレルギーの誘発試験を行うときは、アスピリン内服をさせたりします。
https://shimane-u-dermatology.jp/theme/shimane-u-ac_dermatology/pdf/anaphylaxis.pdf
日本では小麦に含まれるω-5-グリアジンによることが多いのですが、
若年者のFDEIAの原因はエビなどの甲殻類が多いです。
ここは過去問で出題済み。
加水分解コムギの一種であるグルパール19Sはかつて化粧品原料に用いられていたが、これの経皮吸収を契機として小麦によるFDEIAが多発し社会問題となりました。
現在では使用が規制されており、症例が減りました。
小麦のFDEIAはWDEIAといったりもします。
wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis:WDEIA
ω-5 グリアジン特異的 IgE 検査
加水分解コムギ含有石鹸使用後の小麦アレルギーは、ω-5 グリアジン特異的 IgE 検査が陰性になることが多い、というのは過去問に既出でした。
しかし、通常の小麦アレルギーのFDEIA患者で、負荷試験などで陽性と診断された患者でも、ω-5グリアジンは陰性となることがある、陽性率50%程度、特に20歳以下で偽陰性となることが多い、
ということは覚えておく必要がありそうです。
というのも、小麦FDEIAでは、
患者の8割が小麦構成タンパクである、ω-5グリアジンが主要抗原ですが、
残るの2割では高分子量グルテニンが主要抗原となることがわかっています。
ややこしいですね・・・。
小麦特異的IgEとグルテン特異的IgE
加水分解小麦のFDEIAでは、この両者は陽性となることが多いです。
それと異なり、通常の小麦FDEIAではこの2つは陽性率が低く(50%以下)陰性となることも多いことが知られています。
加水分解コムギのFDEIAは、あたらしい出題は今後されにくいと思いますが、
・通常のFDEIAの出題は今後も出されること
・過去問をやっていくときに、加水分解コムギFDEIAの特徴を知らないと混乱してしまう
ことから、今回解説しました。
○×形式で確認します。
若年者の FDEIA の原因食物はエビ等の甲殻類が多い ○
成人のFDEIAの原因食物は小麦が多い ○
FDEIAの主要抗原の多くはω-5グリアジンである。 ○
加水分解コムギによるFDEIAでω-5グリアジンが陽性となる ×
加水分解コムギによるFDEIAでは、小麦特異的IgEは陰性となることが多い ×
最新のトピックス
今年の専門医試験では出題されにくいですが、
再来年あたりには出る可能性がありますが、
WDEIAの発症リスクが、特定のHLA型である「HLA-DPB1*02:01:02」と関連することが報告されています。
最近はやりのGWASジーバスです。
もうなんでもかんでも遺伝子です・・・。
遺伝子といえば、小児科先生の本を思い出します。基本遺伝子でもう決まっているから何しても無駄なところは無駄だよ、っていうメッセージに自分には伝わりました。笑
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ベストセラーだったので、お読みになった先生もおられるでしょうか。
おわりに
お読みいただきありがとうございます。
このような記事も書いています。
皮膚科専門医試験の過去問でも、アレルゲンコンポーネントについて問う設題もありました。
島根大学皮膚科のHPからは、研究、の項目の中に載っています。
Q 食べてから数時間後に遅発性アナフィラキシーで起こる食べ物はなんでしたか?
納豆のPGAによるものでした。
引き続き勉強を続けていきます。