2012年平成24年度皮膚科専門医認定試験 備忘録
2012年平成24年度皮膚科専門医認定試験 備忘録
デルマ侍です。
2012年平成24年度皮膚科専門医認定試験
第20回目の皮膚科専門医試験になります。
2012年8月5日 (日曜日)
場所は都市センターホテル
専門医試験委員は岩月先生でした。
試験委員についてもこちらの記事でまとめています。
皮膚科専門医試験合格率
2012年平成24年度皮膚科専門医認定試験の合格率は、
受験生252名 合格率86.1%
男女内訳は、男性受験生118名、合格者98名
女性受験生134名、合格者119名
でした。
この年の合格率は「例年になく高い合格率」でした。
他の年度の合格率の推移はこちらでも解説、まとめています。
年齢別の合格率
平成24年度の皮膚科専門医試験の講評で特筆すべきは、
年齢別での合格率の差について、述べられている点です。
「33歳以下の受験者群はいずれの支部においても圧倒的に高い合格率でした」
「この傾向は昨年(平成23年度)も同じでした」
「34歳以上の受験者層では、各支部とも合格率が60%〜70%台と低迷しています」
再受験、浪人生、留年、国浪、ないしご出産育児などで同期よりも遅れて受験された先生方、いろんな先生方おられると思いますが、年齢で合格率がかわってくる数字的な事実を提示されると結構ショッキングですね・・・・。
ただし2012年については、
・中部支部の男性受験者
は「34歳以上の受験者層では、各支部とも合格率が60%〜70%台と低迷しています」の条件から除かれた、と書かれており、
東部支部、東京支部の女性受験者と中部支部の男性受験者の先生方は年齢のファクターでの合格率の差は有意ではなかったようです。
試験構成
2012年平成24年度の皮膚科専門医試験は
筆記試験100題 選択問題90題、記述問題10題
口頭試問1人15分
でした。筆記試験の問題数はこの数年で変化があります。
なお、口頭試問は2018年を最後に廃止されています。
正答率が低かった問題は、
電顕材料の固定駅の問題でした。
正答率は50%
を下回ったそうですが、識別率は0.451で良質な問題であったと判断されています。
皮膚科専門医試験の出題方針が
・日本皮膚科学会雑誌の原著
・セミナリウム
・JDに掲載された症例
・診療ガイドライン
・講習会テキスト(日皮会主催研修講習会テキスト)
から出題と書かれている点は例年と同じです。
2020年からは試験は11月に実施されています。
2021年のスケジュールは以下のようでした。
2022年令和4年度以降の皮膚科専門医試験のスケジュールについて、現在発表されていることは以下の記事をご覧ください。
こんな記事も書いています。
こんな記事も書いています。
2012年平成24年度皮膚科専門医認定試験の解説はこちらから。
おわりに
お読みいただきありがとうございます。
2013年平成25年度皮膚科専門医認定試験 備忘録
デルマ侍です。
2013年平成25年度皮膚科専門医認定試験 学会の講評(特集)についての備忘録です。
2013年平成25年度皮膚科専門医認定試験
試験日程
2013年平成25年度 8月4日
2020年から試験日程はさまざまな要因で変更になっておりますが、
この頃は8月の第一日曜日でした。
場所は都市センターホテル
受験者は、 合計241名 男性82名 女性159名
やはり皮膚科は女性が多いですね。
合格者は191名 この年の皮膚科専門医試験合格率は79.3%で
男性57名、女性134名の合格でした。
当日の試験委員長は岩月啓先生でした。
試験問題は
筆記試験100題 選択86題 記述14題
面接試験 20題(5カテゴリー、各4問、1人15分)
岩月先生のコメントでは、同年の出題では、「病理組織問題やダーモスコピーに関する問題の多くは、じっくりと考える時間をとっていただきたいという思いから、筆記試験として出題」と述べられております。
皮膚科専門医試験の出題方針が
・日本皮膚科学会雑誌の原著
・セミナリウム
・JDに掲載された症例
・診療ガイドライン
・講習会テキスト(日皮会主催研修講習会テキスト)
から出題と書かれている点は例年と同じです。
また、「これらを専門医試験のリソースとして活用していますので、専門医試験を勉強する場合の目標設定になる」と書かれています。
講習会テキストとは、総会、支部大会で行われている必修、選択の講習会での講演を文字化したテキスト集のことで、学会HPから手に入れることができます。
こちらもご覧ください。
2013年の皮膚科専門医試験 正答率が低かった問題
2013年の皮膚科専門医試験で、正答率が低かった問題は識別率も低かったことがあげられています。
正答率、識別率が低かった問題として、2題紹介されており、
問題80のGVHD
問題85 HSV VZV 記述筆記問題
でした。
問題85については、「HSVとVZV感染症の回帰性感染を鑑別するには、血中抗体価の変動を検査しても診断的価値は少なく、ウイルス抗原や遺伝子を調べないと真に鑑別することは難しい」とコメントされています。
この2題は削除問題とはしなかったようですが、削除問題としても合否判定への変動、影響はなかったとコメントされています。
識別率についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
このような記事も書いています。
点差がつくのは、記述問題ともいわれています。
2013年平成25年の皮膚科専門医試験の解説集については、こちらで公開しています。
ぜひご活用ください。
おわりに
お読みいただきありがとうございました。このような記事も書いています。
またお読みいただけると嬉しいです。
ありがとうございます。
外用剤の混合について
デルマ侍です。
今日は外用剤の混合についてみていきます。
皮膚科医は外用剤をだすことが多いですよね。
しかしその組み合わせによっては、分離したりすることもあるようです。
デルマ MB Derma 314 :1-7,2021
大谷道輝先生の「基剤と剤形から考える外用剤の混合」
から、混合不可の組み合わせをご紹介します。
混合不可の組み合わせ
ヒルドイドソフト軟膏 + デルモベート軟膏 含量上昇
ヒルドイドソフト軟膏 + メサデルム軟膏 ブリーディング
ヒルドイドソフト軟膏 + リンデロンDP軟膏 ブリーディング
ドボネックス軟膏 + アンテベート軟膏 2週間後 含量低下
ブリーディングとは、水分が表面に浮き出す現象です。
特にヒルドイドソフト軟膏との混合は多くの先生方が行う機会も多いと思うので、気をつけないといけませんね。
ドボネックス軟膏 + アンテベート軟膏 2週間後 含量低下
も紹介されていますが、
すでに混合された製剤のドボベット軟膏は、
ドボベット軟膏:
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロン-DP軟膏)+ビタミンD3製剤カルシポトリオール(ドボネックス軟膏)
です。過去問既出。
こんな記事も書いています。
おわりに
お読みいただきありがとうございます。
すでに合剤として販売されているドボベット軟膏、マーデュオックス軟膏に関連して、こんな記事も書いています。
また、お立ち寄りいただければ嬉しいです。
いつもありがとうございます。
参考文献:
デルマ MB Derma 314 :1-7,2021
大谷道輝先生、「基剤と剤形から考える外用剤の混合」
病理プレゼンの仕方
デルマ侍です。
病理のプレゼンテーションの仕方について
皮膚病理をみて行く時、プレゼンテーションをするとき、
大まかな流れがあります。
簡単にお話していきます。
マクロ(弱拡大)からみる
特徴的な所見があるとき、そこに飛びついてしまいがちですが、
必ず、マクロからみること、マクロからプレゼンすることを忘れずに。
マクロ 弱拡大
ミクロ 強拡大
です。
できるなら、ルーペ像、顕微鏡に載せる前のスライドを目視した情報も、なにか提示するべきことがあるなら伝えるべきです。
皮膜に包まれた腫瘍です。
など。
弱拡大からみてその次に強拡大
顕微鏡に乗せて、
弱拡大 対物レンズ2倍、4倍で全体像をまず提示します。
病変の首座はどうなのか、
腫瘤があるのか、
真皮浅層に好塩基性の細胞浸潤があるのか。
弱拡大
弱拡大での注意は、
腫瘤があることはいえても、
それが腫瘍かどうかは言えません。
腫瘍というのは、病理学的な診断が含まれた表現であり、
細胞が密に集まって塊を形成していれば、腫瘤、とは表現できますが、腫瘍かどうかは、わかりません。
また、弱拡大では、細胞の形態まではわかりませんので、
真皮浅層に好塩基性の細胞浸潤 = リンパ球
であることが予習でわかっていたとしても、
弱拡大の時点では色味を表現します。
好塩基性 = 紫
好酸性 = ピンク
メラニンが多い →茶褐色 などなど
強い拡大
その後、
強拡大 対物レンズ20倍→40倍のプレゼンへとうつっていきます。
病変が真皮などにある場合、真皮にまた飛びついてしまいがちなのですが、
上から上から。表皮から。提示していきます。
角層はどうなのか、表皮変化はあるのか、萎縮していないか、
肥厚しているのか。
表皮のプレゼンがおわったあとに、真皮→脂肪織とうつっていきましょう。
腫瘍を一塊にして切除した、などで、表皮が含まれない場合は、
皮膜、腫瘍の壁、など外側から強拡大にして提示し、内側へと進めていきましょう。
おわりに
いかがでしたか。
自分が病理プレゼンの際に気をつけていること、
今まで教わってきたこと、後輩に教えていること、などをまとめました。
ご意見、先生方の工夫などありましたら、ぜひお教えください。
お読みいただきありがとうございます。
またお立ち寄りいただければ嬉しいです。
認める、施行した、という言葉を使わない
病理伝票の書き方、プレゼンについて。
まず文字、表現のお作法について。
「認める」を使わない
「認める」を使わない
なかなか難しいのですが、このお作法、何人かの先生方がおっしゃっています。
病理伝票でも、病理のプレゼンでも、
× 3年前より背部に腫瘤を認めた
× リンパ球の浸潤を認めます
3年前より背部の腫瘤を自覚した / 家人に指摘されたが放置していた
→患者本人が3年前に気がついた、認識した、という意味なので、この文章は正しい
→また、背中のため本人は気がつかなかったが、家族に指摘された、という文章も正確です
病理のプレゼンでは、
「浸潤を認める」
〜を認める、
を多用してしまいますが、
・真皮浅層の毛細血管周囲にリンパ球が多数浸潤している
・真皮乳頭層に毛細血管が増生している
こういった表現をするといいでしょう。
認める、というのは、認識する、recognaizeする、ということの他、
判断する、目に止める、といった意味などがありますが、
辞書をみてみますと、
みと・める【認める】
1 目にとめる。存在を知覚する。気づく。
「人影を―・めた」
「どこにも異常は―・められない」
2 見て、また考えて確かにそうだと判断する。
「有罪と―・める」
「頭がよいと―・める」
3 正しいとして、また、かまわないとして受け入れる。
「自分の非を―・める」
「試験に教科書の持ち込みを―・める」
4 能力があると判断する。「世に―・められる」
5 気をつけて見る。じっと見る。 「五百の仏を心静かに―・めしに」〈浮・一代女・六〉
施行するを使わない
かっこいいから、という理由なのでしょうか。
プレゼンで多用する先生、多いですよね。
しかし、
施行する、という言葉を注意する先生もいらっしゃいます。
検査を実施した、行った、という意味で使われることが多いのですが、
× 生検を施行した
×CT検査を施行した
という表現、あまり好ましくありません。
この単語、法律用語なのです。
辞書を見てみますと
し‐こう〔‐カウ〕【施行】 の解説 [名]
1 実際に行うこと。政策・計画などを実行すること。実施。せぎょう。しぎょう。「命令を―する」
2 法令の効力を発生させること。せこう。「新税法を―する」
より
特に、プレゼンなどで使う言葉と思いますが、
・生検を行なった
・CT検査を実施した
こういった表現がすっきりするかと思います。
おわりに
お読みいただきありがとうございます。
またお立ち寄りください。
皮膚病理のあれこれ
デルマ侍です。
今日は皮膚病理について書いていきます。
病理依頼書の書き方について
病理診断をお願いするとき、
どのように書いていますか?
いくつか書かないといけない点があります。
①いつからか
②大きさ
③疑っている疾患 悪性を疑うのか
④切除の仕方 部分生検か、全摘か
性別、年齢 これはオーダーをいれる場合には今は必ず入力されると思うので、気にする必要はありませんが、病理診断にはすごく重要ですね。
病理でも臨床でも、性別・年齢における疾患の頻度はすごく重要です。
疫学的にその年齢や性別では起きにくいことも鑑別にあげることももちろん重要ですが、
疾患頻度も考えるべきです。
上記について、細かくみていきましょう。
①いつからか
生まれてからなのか、何歳ころからなのか、
数年前なのか、数日前からなのか、
それに伴い急速増大なのか、緩徐に増大なのか
ご高齢の方で問診がとれず、いつからあるかわからないときは、その旨書きましょう
②大きさ
大きさも非常に大事ですね。
炎症疾患でも、腫瘍性疾患でも、大きさから推測、判断できることもあります。
③疑っている疾患 悪性を疑うのか
特に、炎症性疾患では、
臨床から鑑別にあがる疾患と照らし合わせて病理として矛盾しないのか、合致するのか、(コンパティブルか、という言い方をよくします compatible with)が重要になってきますので、
鑑別をしっかりあげることが大事です。
臨床からの鑑別があがらないと、病理だけ見て診断がつく疾患は炎症性疾患においては非常に少ないからです・・・。
腫瘍性疾患では悪性を疑っているのか、もし可能ならどの程度悪性を疑っているのか、も伝えるといいです。
鑑別にならぶ疾患群が悪性疾患が多いかどうかも病理医に伝えるメッセージです。
良性を疑うが、念の為悪性の否定目的
そういった表記もしたりします。
④切除の仕方 部分生検か、全摘か
腫瘍などの場合、一部の生検なのか、全摘生検なのかも記載する必要があります。
おわりに
お読みいただきありがとうございます。
またお立ち寄りいただければ嬉しいです。
皮膚病理教科書のおすすめ 英語
デルマ侍です。
今日は
皮膚病理教科書のおすすめ 英語バージョン
をやっていこうと思います。
英語の皮膚病理の本
英語の皮膚病理の本といったら
リバー
マッキー
ウイードン
この3つ。
古くからあって、伝統的なのはリバーです。(版をみてもおわかりかと思います)
今の教授の先生方たちが、お若いときお読みになっていたと思います。
昔は今のように日本語の本が少なかったと聞いていますので、優秀な先生方はリバーをお読みになられたと思います。
マッキーは読んで使ってみると、なんとなく今風だなあと感じます。それに比べるとリバーはオーソドックスな印象です。
ウイードンは、臨床情報も多い印象がありまして、病理も臨床もよくわからない(笑お手上げ)の時に役立つことがあります。
Lever リバー
(レバー、レーバー)
Lever's Histopathology of the Skin, 11th ed.
|
Weedon ウイードン
ウィードン皮膚病理学 2021年に最新版5版が発売されました。
|
McKee マッキー
マッキー皮膚病理学 最新の改訂第5版 2020年にでました。
|
3つともいい
3つともいいし、どれを買っても問題はありません。
僕は・・・・
なんとなくかっこいいから、という理由でMcKeeをメインで持っています。
でも他2つもいずれ自分用で購入したいです!!
皮膚病理の用語については、皮膚病理組織学会のページがかなり使えます。
試験対策にも役立ちます。
このような記事も書いています。
無料でも色々と勉強できます。ぜひご活用ください。
皮膚科専門医試験対策に有用な病理の本は?といえば、
皮膚病理道場です。
またJDA eSchoolの病理も活用されると良いと思います。
おわりに
お読みいただきありがとうございます。
以前このような記事も書いています。
またお読みいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。